2017年11月21日(火)

春秋

春秋
2017/11/11付
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 15世紀のイタリアで、新興商人のメディチ家は銀行業で莫大な富を築き、ルネサンス芸術の保護者にもなった。そのルーツは謎だが、もともとは医師や薬種商など医療関係の仕事をしていたという説が有力だ。家名が「医者」を意味することが根拠の一つになっている。

▼もう一つは金地に赤い玉をいくつか置いた家の紋章である。赤い玉は丸薬か、皮膚に当てて血を吸い取る「吸い玉」を表すとされる。メディチ家と医療との縁の深さをうかがわせる。この分野で蓄えた資金がその後の事業の元手になったとも考えられよう。病気を治す技術は重宝がられ、対価をしっかり得ていたのだろう。

▼もっとも、費用が高すぎれば患者にとっては困りものだ。昔も今も変わらない。政府は来年度の予算編成で、医療行為や薬の対価である診療報酬が適正か精査するという。薬価制度をめぐっては超高額薬が相次ぎ登場している。費用対効果は簡単には見極められないが、制度を納得できるものに近づけていかねばなるまい。

▼診療もお金がかかりすぎないものにしたい。看護が手厚く費用が高い病棟に、重症患者が入院していない場合も多い。メディチ家は銀行業を伸ばしていた当主が嫉妬を恐れ、町を歩く際は目立たない身なりにしていたという。気づかれまいとする相手の様子を、いかに見逃さないようにするか。医療費の点検でも問われる。

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