2017年11月20日(月)

がん免疫療法の普及へ道筋を

社説
2017/11/10付
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 がんの免疫療法への風当たりが強まっている。科学的根拠の薄い治療をしたり法令に違反したりする例が出ているためだ。

 適切な免疫療法を患者が安心して受けられるよう、厚生労働省は正確な情報を伝える仕組みを整えるべきだ。安全性が高く効果のある治療法の普及に道筋をつける取り組みが、求められる。

 免疫療法は患者の免疫の働きを高めることでがんをおさえこむ。手術や放射線治療、化学療法と並ぶ主要な治療法として、海外では利用が広がっている。

 国内でも、海外の先行例を踏まえ法に沿って慎重に実施している医療機関はある。「オプジーボ」など承認済みの免疫薬を使った治療や、一部の先端的な遺伝子治療も、免疫療法に分類される。

 その一方で、設備が不十分な一部の民間クリニックが、安全性のはっきりしない方法で免疫細胞を処理して体内に入れる治療をした例が明らかになっている。

 再生医療等安全性確保法に違反して処分されたところもある。結果として免疫療法全体に疑いの目が向けられているのが現状だ。

 こうしたなか厚労省は、がん治療の中核をなす全国434の拠点病院を対象に、免疫療法の実態調査を始めた。拠点病院で保険の効かない高額な自由診療として免疫療法を実施しているのを、問題視する報道があったからだ。

 だが拠点病院は、診断・治療に必要な医師やスタッフ、設備がそろい実績もあるからこそ、指定されている。厚労省が優先すべきは、体制の整わない民間クリニックなどの実態調査ではないか。

 がん患者や治療の実態を集計している国立がん研究センターや関係学会と協力して、それぞれの治療法の有効性を示すデータなど情報の提供にも努めるべきだ。

 海外で実績のある治療法は国内でも臨床研究を推進するなど、普及をめざす必要がある。「悪貨が良貨を駆逐する」のように、一部の不適切な行為のために患者の治療機会が奪われてはならない。

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