2017年11月21日(火)

春秋

春秋
2017/11/9付
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 貴金属のプラチナの価格が低迷しているという。一昨年初めから、金との差は逆転したままらしい。先日、本紙が報じていた。金の24分の1しか採れず、生産コストも高いのになぜか。ディーゼル車の排ガスから有害物質を除くというニーズの後退が背景にあるようだ。

▼電気自動車(EV)の旋風がここにも吹いている。プラチナの価格は、似た金属のパラジウムにも抜かれ気味、ともあった。クレジットカードのグレードはゴールドよりプラチナが上級だが、見直しを迫られまいか。入手困難なチケットの表現や、結婚75周年のお祝いの通称にも関わるのでは、と余計な心配もしたくなる。

▼人々が渇望するレア物は歴史を創ったり、世界観をも変えたりした。だが、いつかは輝きを減ずる宿命なのだろうか。15~16世紀、欧州の船団が次々とインドやアジアを目指し海へ乗り出したのは、希少な香辛料を原産地から直接に得るためである。航路が開拓され、栽培技術も向上して、18世紀には値は下がったという。

▼最近、耳にするコモディティー化と流れは似る。一時光を放った何かが、経済の構造変化やものづくりの革新の波に洗われることは今後もありそうだ。神器のようにはやされるEVや人工知能(AI)も例外ではなかろう。プラチナを巡る物語は、旧来の常識にとらわれた視点では未来が見通しにくいことを教えてくれる。

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