2017年11月20日(月)

日本の映像産業を育てるには

社説
2017/11/6付
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 テレビ番組などの映像コンテンツ分野で、ネット配信大手のネットフリックスやアマゾン・ドット・コムといった米国企業が事業を拡大している。日本もこの分野に注力しているが、国内市場は伸び悩む。成長力の回復に向けた取り組みを急いで進めるべきだ。

 ネットフリックスの配信サービスの有料契約者は今夏、世界で1億人を超えた。独自コンテンツの制作も増やしており、2018年は今年より約25%多い8千億円程度を投じる方針という。日本で事業者が制作費を切り詰めているのとは対照的だ。

 日本の映像コンテンツ産業の市場規模は09年から4兆円台前半が続き、停滞している。少子高齢化などの逆風が強まるなか、ネットなど新たな余暇の過ごし方との競争に勝ち、視聴者を増やすことが課題になる。

 この分野を伸ばすためにまず重要なのはIT(情報技術)の利用だ。米国では配信にネットを積極的に使い、コンテンツ制作などに応用する動きも目立っている。

 視聴者がどんな番組を見たかといった情報をビッグデータ解析の手法で分析し、監督の人選や配役に生かすのは一例だ。日本でも人気コンテンツの制作や視聴を増やすために活用すべきだ。

 市場を広げる取り組みも欠かせない。若年層を中心にテレビ離れが進んでおり、スマートフォンなどへの配信を増やすことは避けられないだろう。

 アニメなど競争力が高いコンテンツの輸出拡大にもさらに力を入れたい。ただアジアの国を中心に違法配信の問題が続いており、政府は各国と協力して取り締まりを強化する必要がある。

 コンテンツ制作に携わる人材の確保や育成も課題だ。実際の作業を担う小規模な制作会社は十分な対価を得られず、人への投資が後回しになる例も少なくない。下請法の厳格な適用などを通じてこうした企業が適正な利益を得られる環境を整えることは、映像コンテンツ産業を育てる前提となる。

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