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パリ協定のルールづくりで存在感示せ

温暖化対策の新しい国際的枠組み「パリ協定」の発効から1年がたった。6日からは協定の詳細ルールを話し合う国際会議がドイツのボンで始まる。協定離脱を決めた米国の存在感が低下するなか、日本は透明性の高い公正なルールづくりへ力を入れるべきだ。

パリ協定は2020年以降の温暖化ガス削減策を定めており、現在は準備期間にあたる。ルールを18年に決める予定で、今月6日からボンで開く第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)で実質的な議論が始まる。

めざすのは温暖化ガス排出量の測定や削減量の評価に使う共通の「ものさし」づくりだ。パリ協定では削減目標や達成度合いを自己申告する。ものさしが定まらないと、削減量を大きく見せかける国も出てくるかもしれない。

日本は排出量の高精度な測定や分析・予測技術で定評がある。ノウハウの乏しい途上国や新興国を積極的に支援する役割が、国際的にも期待されている。

温暖化ガス排出枠の取引をどのように削減量に算入するかも課題だ。日本は省エネルギー技術などを提供し、相手国で削減できた分を自国の排出枠とする「2国間クレジット」を重視している。これが正確に削減量に反映されなければならない。

COP23には米国からも政府高官が出席する見通しだが、「発言は控えめになるだろう」(米有力シンクタンクの世界資源研究所)とみられている。

代わって中国が、自国に有利なルールづくりへ主導権確保をめざすとの見方が多い。日本政府内からは「今年は物事が大きく動かない」との声も聞くが、様子見を決め込んでいてはいけない。

パリ協定の発効を機に、20年を待たずに世界の投資家や企業の行動はすでに大きく変わりだした。

石炭火力発電は敬遠され、事業からの撤退や出資引き揚げの動きが出ている。自動車業界は電気自動車(EV)の拡充へアクセルを踏む。インドやアフリカでは太陽光発電の普及計画が急ピッチだ。

日本では、温暖化対策は企業イメージ改善のための社会貢献的な活動ととらえられることが多かった。しかし、今後は事業戦略の柱に据える発想が欠かせない。

国際競争の共通の土俵を整えるうえで、パリ協定のルールづくりは極めて重要だ。日本政府には積極的な役割を果たしてほしい。

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