2017年11月18日(土)

政策正常化へ重責負う次期FRB議長

社説
2017/11/4付
保存
共有
印刷
その他

 トランプ米大統領が来年2月に任期切れを迎えるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の後任にパウエル理事を昇格させる人事を発表した。パウエル氏はFRBが2008年の金融危機以降にとった大規模な金融緩和を縮小し、政策を正常化する重責を担う。

 今回の議長人事はいくつかの意味で異例だった。1980年代のレーガン政権以降、1期目の大統領は前政権が起用した議長を再任してきた。また、任期4年のFRB議長の1期目での退任は、79年の高インフレ期に約1年半で退いたミラー議長以来だ。

 イエレン氏の場合は、金融政策運営に特に問題があったわけではない。候補者名や面接過程を公表するなど議長の選び方もトランプ流の異例なものだった。

 次期議長に指名されたパウエル氏はすでに5年間、FRBの理事をつとめているので、当面はイエレン議長が敷いた路線を踏襲するとみられる。金融市場でもひとまず安心感が広がっている。

 FRBは10月から、国債などの購入で膨れあがった保有資産を徐々に減らし始めた。同時に経済・物価情勢をにらみながら政策金利を段階的に上げていく方針を示している。

 問題は金融政策の正常化の過程で、市場や経済・物価情勢に変動が起きた時だ。FRBは保有資産の圧縮を段階的に進めれば、金融市場には大きな影響を与えないで異例の政策を幕引きできるとみているが、これは中央銀行にとって未知の領域だ。

 今は物価が極めて落ち着いているが、将来インフレが予想以上に加速し、長期金利に上昇圧力が強まった時にどう対応するのか、逆に景気が減速してきた時に資産規模縮小のペースをどうするか、といった課題もある。

 元財務次官のパウエル氏は、金融ビジネスの経験も豊富で、金融規制にも精通しているが、イエレン現議長やバーナンキ前議長のようなマクロ経済・金融政策の専門家ではない。市場の急激な変動などに直面した時の危機管理の能力は未知数だ。

 FRBには議長、副議長も含め7人の理事がいるが、イエレン議長が退任すると4人の理事ポストが空席になる。今後トランプ政権がどのようなメンバーを選ぶかも焦点だ。米国の金融政策の影響は全世界に及ぶ。しっかりした陣容を整えてほしい。

今なら有料会員限定記事がすべて読めます!
電子版10日間無料お試しキャンペーンは11月20日まで!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報