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造船大手、設計部門を集約 JMU、建造と分離

ジャパンマリンユナイテッド(JMU)など総合重工系の造船大手が造船所ごとに分散していた設計部門の集約に相次ぎ乗り出す。環境規制の強化に伴う設計業務の拡大に備えて設計力を底上げする。建造部門と設計部門を切り離すことで、将来的に低コストの建造を得意とする専業大手と分業連合をつくる狙いもある。各社の設計部門の強化が業界再編につながる可能性がある。

IHIやJFEホールディングスなどの造船部門を統合したJMUは全国7カ所の造船所に分散していた主要な設計業務に携わる技術者を本社の設計部門に集約。本社の同部門は現在の2倍の約300人体制となる。

本社に集約するのは、船型や積載量、燃費性能などを決める「基本設計」、詳細な仕様を決める「機能設計」を手掛ける技術者。各造船所が担う設計業務の重複を解消して作業効率を高め、省エネ効果の高い商船「エコシップ」の設計・開発に取り組む。

造船所で使う建造用の設計図などを作製する「生産設計」の技術者300人は各造船所に残る。

川崎重工業は中国の造船合弁2社の設計者を育成する。基本設計のエンジニア約50人を含む約500人が現地で新型船を開発できるようにする。今後、さらに技術者を1割増やし約550人体制にする。一方、競争力の高い燃費性能に関する技術開発は日本の神戸工場(神戸市)に集約する。

三井造船も2カ所の造船所に分散していた基本・機能設計の技術者500人を1つの部署にまとめることを検討する。

三菱重工業はすでに3拠点に分散していた設計技術者を横浜の拠点に集約した。集約した横浜の部門と下関造船所(山口県下関市)の建造部門を統合する商船の新会社を2018年1月に立ち上げることを発表した。

JMUなど重工各社が設計部門の集約に動く背景には設計業務の拡大がある。2020年代中ごろまで二酸化炭素や硫黄酸化物の排出削減、生態系保全など環境規制の強化に伴う制度変更が予定され、新基準に則した設計図を新たに作り直す必要が出てくる。「設計力を強化しないと新規案件を取るのが難しくなる」(JMUの三島慎次郎社長)という。

さらに総合重工各社の生き残り戦略も背景にある。今治造船や大島造船所など専業大手は建造量で重工各社をしのぐ。一方で省エネ型商船など設計技術の水準は重工各社が高いとされる。重工各社が設計部門の付加価値をさらに高めれば、設計業務を受託して建造を任せるなど専業大手と分業連合を組みやすくなるとの狙いもある。

実際、三菱重工は設計部門を中核とした新会社が今治造船など専業3社と提携。設計・開発は三菱重工が担い、専業3社が主に建造するといった役割分担を検討している。造船会社幹部は「設計強化と並行して複数の専業大手に提携を申し込んでいる」と打ち明ける。

中国・韓国勢との受注競争で劣勢に立たされる日本の造船各社。重工系各社が設計・建造の分離を進める先には、業界再編が控えている。

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