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FRB、穏健路線維持 次期議長 パウエル氏昇格へ

2017/11/3付
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にジェローム・パウエルFRB理事(64)が、トランプ米大統領に指名される方向になった。米メディアが報じた。歴代議長はイエレン氏ら著名経済学者が務めてきたが、パウエル氏は法律専門家。低金利政策を支持する穏健派でウォール街での経験も長い。金融市場は金融政策に大きな路線変更はないと見込んでいる。

トランプ大統領は2日午後(日本時間3日未明)にFRB議長人事を発表すると表明した。パウエル氏は2012年にFRB理事に就いた。「利上げには辛抱強さが必要だ」などと述べ、現体制の低金利路線を支持してきた。金融市場は景気拡大や株高を呼んだイエレン体制の穏健な金融政策が続くとみており、一時は7カ月ぶりの水準に高まった長期金利も再び低下基調にある。

ただ、パウエル氏はマクロ経済の専門家ではなく、実際の政策スタンスは見えにくい。FRBの歴代議長はグリーンスパン氏やバーナンキ氏ら、経済分析で高い評価を得たエコノミストが務めてきた。イエレン氏らは米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長などを務め、政権の助言役としての実績もある。

パウエル氏は米プリンストン大やジョージタウン大で政治学や法律を専攻し、その後に弁護士としてウォール街の投資ファンドに身を投じた。共和党主流派に近いことからブッシュ(父)政権で財務次官(国内担当)を務めたが、エコノミストではないFRB議長の誕生は約40年ぶりだ。

トランプ氏はスタンフォード大教授のジョン・テイラー氏の起用も検討してきた。「小さな政府」を志す共和党保守派は、FRBの強大な権力を毛嫌いする。テイラー氏は経済指標を基に機械的に政策金利を決める「テイラー・ルール」の提唱者。FRBの政策運営を「恣意的だ」と批判する共和党保守派にとって、テイラー氏は金融政策の理論的支柱といえる。

もっとも、好調な現在の米経済で同ルールを適用すれば、理論的には政策金利を3%台半ばまで引き上げる必要がある。

不動産業で名を成したトランプ氏は「正直に言えば自分は低金利人間だ」と主張する。景気拡大や株高に水を差す急激な利上げ路線は、経済成長を重視するトランプ政権と相いれない側面がある。

トランプ大統領はイエレン議長の再任も検討してきた。ただ「人事には自分の印を付けたくなるものだ」とも述べ、オバマ政権で指名された同議長の再任には二の足を踏んできた。折衷案として、FRBの現体制で唯一、共和党主流派に近く、さらに低金利政策を支えるパウエル氏が浮上したともいえる。

FRBは米国の金融政策を差配するだけでなく、基軸通貨ドルを管理する「世界の中央銀行」だ。パウエル氏は10月中旬、ワシントン市内での講演で「米利上げによる新興国へのリスクは対処可能だ」と強気な見方を示した。世界経済は好調さを保つが、新興国の過大債務など金融危機のツケが残る。投資銀行出身者を選ぶ「トランプ色」のFRB人事は、世界経済に及ぼす影響も大きい。

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