2017年11月22日(水)

地銀は収益構造の転換を急げ

社説
2017/11/3付
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 地方銀行の経営が正念場を迎えている。2017年3月期には全国の地銀の過半数が貸し出しなどの本業で赤字となった。地域経済の停滞という構造的な逆風にとどまらず、日銀が昨年2月に導入したマイナス金利政策の影響で融資金利が下げ止まらない。

 地銀はメガバンクのように海外市場に活路を求めることはできない。担保や保証に過度に依存した旧来型の経営を改め、収益構造の転換を急がなければならない。

 金融庁は昨年秋、貸し出しと手数料ビジネスの銀行本業で、25年3月期までに地銀106行のうち6割超が赤字に転落しかねない、との厳しい試算を示していた。ところが今年3月期実績を集計したところ、すでに5割超が本業で赤字となったことが判明した。

 想定を上回るペースの収益の悪化である。保有株式や債券の益出しで当面は最終利益を確保できても、いずれ限界がおとずれる。

 日銀の大規模な金融緩和がいつまで続くかは見通せない。貸し出しの利ざやが低迷を続けるなかで急務となるのは、コンサルティング業務の強化など非金利収益で稼ぐビジネスモデルへの転換だ。

 地元中小企業の販路開拓や埋もれた技術力の掘り起こしで、地銀が果たすべき役割は大きい。担保を要求するばかりでなく、取引先の経営上の相談に応えている銀行ほど、融資利回りの低下が緩やかだというデータもある。

 規模を拡大しシェアを高める他行との統合は経営の重要な選択肢だ。ただ市場の寡占による収益向上を主目的にした再編には公正取引委員会の視線が厳しい。今後はコスト負担が重いITシステムや商品開発などの分野における広域の提携戦略の巧拙も問われる。

 地方の人口減や高齢化の深刻度を踏まえると、すべての地銀が生き残るのは難しい。日銀は地方発の金融混乱のリスクに言及しはじめた。金融庁は監督・検査を通じて、地域経済を一段と疲弊させるような地銀破綻を未然に防ぐ備えに万全を期してほしい。

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