2017年11月19日(日)

技能実習は根本から見直しを

社説
2017/11/2付
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 途上国の人材が日本で働きながら技術を身につける外国人技能実習をめぐって、制度の改革を目的とした新法が1日施行された。賃金不払いなどの不正監視を強める一方、優良な受け入れ先については実習期間を現在の最長3年から5年に延ばせるようにした。対象職種には新たに介護を加えた。

 企業への監督強化の代わりに実習生の受け入れを拡充したかたちだ。これでは多くの受け入れ先が途上国への貢献の名のもとに、実習生を安い労働力としてとらえている実態は変わらないのではないか。技能実習制度は根本的な見直しが求められる。

 施行された技能実習適正化法では、企業は実習生を受け入れる際、技能の習得計画をつくって新設の「外国人技能実習機構」の認定を受けることになった。認定後も機構は企業を実地検査する。

 心配なのは企業の監視が十分にできるかどうかだ。厚生労働省によると、実習生に対する違法な長時間労働や最低賃金を守らないなどの労働関係法令違反が見つかった事業所は、2016年に4004カ所と過去最多になっている。

 技能実習制度は人権侵害の問題をはらむとして世界から批判されている。背景にあるのは国際貢献という建前と、人手の確保という本音とのかい離だ。

 介護、看護や農業、物流など、人手が不足している分野について、外国人を受け入れる仕組みを根本からつくり直すときに来ている。たとえば国内で募集しても充足できない職種について、一定以上の職務能力を持った外国人を受け入れるやり方が考えられる。

 日本人の雇用への影響を分析し、職種ごとに毎年の受け入れ人数に上限を設けるといった工夫も要るだろう。もちろん家族を含めた日本語習得や子弟の教育、医療など生活面の支援も欠かせない。

 企業にはできるだけ少ない人員で利益を出す生産性向上の努力が求められる。持続的な企業の成長を考えるなら、安易に技能実習制度に頼るべきではない。

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