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「丁寧な国会運営」会期だけでなく中身も

10月の衆院選を受けた特別国会が召集され、第4次安倍内閣が発足した。与党は選挙前とほぼ同じ水準の議席を得たが、野党候補の乱立など敵失に助けられた面もある。圧勝におごることなく、緊張感をもって政権運営に努めてもらいたい。

特別国会の会期は12月9日までの39日間で決着した。与党は11月8日までの8日間にとどめるつもりだったが、野党から「森友・加計学園をめぐる疑惑を追及させないためだ」などと批判され、方針転換した。

8日間だった場合、年間の国会開会日数は、平均の229日を大きく下回る159日にしかならなかった。1カ月を超える会期が確保され、安倍晋三首相の所信表明演説や与野党の代表質問などが実施される運びになったことは評価したい。

問題は審議の中身である。一連の与野党協議の過程で、自民党は委員会などにおける質問時間を野党重視から議席比重視に改めるべきだと主張した。現在はおおむね7割を野党に割り振っており、国会が野党の宣伝の場になっているとの認識からだ。

国会の質疑のあり方にはさまざまな意見があろうが、民主党政権時代の野党・自民党はそれまでよりも野党への割り振りを増やすよう求め、実現させた。与野党が入れ替わると言い分が変わるのは、ご都合主義というものだ。

与党議員が続々と登場し、政府にエールばかり送る。そんな国会審議が国政に資するだろうか。自民党も宣伝の場がほしいのであれば、与野党が対等な立場で主張をぶつけ合う党首討論を頻繁に開くなどの手があるはずだ。

森友・加計問題では当事者である学園理事長や首相夫人の国会での証言は実現していない。これでは説明責任を果たしたとはいえまい。「選挙に勝って、みそぎは終わった」では傲慢だ。安倍首相のいう「丁寧な国会運営」は口だけということになりかねない。

今年秋は外交日程が混み合っている。北朝鮮情勢も緊迫の度を深めている。それはその通りだが、だからといって政権と国民をつなぐ場である国会を軽視してよいことにはならない。

衆院選が終わり、次の参院選まで1年半以上ある。選挙が遠いと与党は強引な国会運営に走りがちだ。安倍政権は、丁寧なうえにも丁寧、を心がけるべきだ。

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