2017年11月24日(金)

金融緩和を生かす構造改革を進めよ

社説
2017/11/1付
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 安倍晋三政権が誕生してアベノミクスを掲げてからもうすぐ5年。最も目立った政策は黒田東彦日銀総裁のもとで実施した大規模な金融緩和だ。

 2%という物価安定目標にはまだ届かないが、企業収益や雇用情勢は大きく改善し、株価も上昇した。経済を好循環の軌道に乗せ、持続的な成長を実現するには、金融緩和の効果を生かせるような規制緩和など構造改革を断行することが欠かせない。

 日銀は31日の金融政策決定会合にあわせてまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2017年度の消費者物価上昇率の見通しを下げる一方、2%の目標を達成する時期のメドは「19年度ごろ」に据え置いた。

 日銀は昨年9月に金融政策の枠組みを変更し、国債買い入れ額という量的目標ではなく、長短金利を操作する方式に切り替えた。物価目標達成のため追加緩和を繰り返す手法を改め、持久戦に耐えられる仕組みにしたといえる。

 日銀が金融緩和を続ける一方で、米欧の中央銀行は金融危機後の大規模緩和からの出口に向かい始めた。日本と米欧の金融政策の方向が異なってきており、市場の変動への目配りも重要だ。

 日本の株価が上昇基調を強めるなかで、日銀が年間約6兆円のペースで増やしている上場投資信託(ETF)の購入もそろそろ見直しを検討する時だ。市場に過度の影響が出ないよう、年6兆円を「上限」や「メド」として柔軟に減らしていくのが現実的だろう。

 長い金融緩和の下でも物価が上がりにくいのは、雇用情勢が好転しても賃金の伸びが鈍く、個人消費に盛り上がりを欠くからだ。

 経済を持続的な好循環に持っていくには、金融政策だけでは不十分だ。一方で、財政出動による需要追加を繰り返しても効果は一時的だ。大事なのは成長力強化につながる構造改革である。

 安倍首相は経済界に3%の賃上げを要請した。業績が好調な企業は設備投資や賃金にお金を振り向ける必要があるが、そのための環境整備も求められる。

 政府は、生産性の向上につながる労働市場などの規制改革を通じて、企業が投資や賃上げに動きやすい環境を整えるべきだ。また、若年層が消費を抑える一因でもある社会保障や財政への将来不安に対応した制度面の改革も、しっかりと進めなくてはならない。

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