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黒田日銀

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日銀、出口論と一線 大規模緩和を継続
将来のリスク残る

2017/11/1付
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日銀は31日の金融政策決定会合で、大規模緩和の維持を決めた。黒田東彦総裁は同日の記者会見で、物価目標を達成する前の緩和縮小について「本末転倒」と述べた。世界の主要国が金融引き締めにかじを切るなか、日銀の緩和継続姿勢が一段と際立っている。ただ米欧と比べて将来の緩和余地が小さくなるリスクと背中合わせだ。

金融政策決定会合後、記者会見する日銀の黒田総裁(31日、日銀本店)

「出口は(2%の)物価安定目標が実現される状況で議論するもの」。31日、金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は繰り返し出口議論を退けた。日銀が目指すのは、あくまで2%の物価安定目標。景気が良くても異次元緩和を続けるのはそのためだ。

同日発表の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では2017年度と18年度の物価見通しを下方修正する一方、17年度の実質国内総生産(GDP)見通しを引き上げた。好調な景気を材料に金融市場などは日銀に金融緩和からの出口議論を促すが、黒田総裁は「ミスリード」と意に介さない。

問題は米欧との差だ。黒田総裁は「金融政策は各国の物価動向に合わせて行っている」と指摘。景気の良さは日米に共通するが、消費者物価指数(CPI)の上昇率が1%半ばから後半の米国と日本では金融政策の方向性に違いが出て当然とにじませた。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げで米長期金利が上昇すれば、日本の長期金利との差は広がる。マネーは金利が高い国に流れる傾向があり、円売り・ドル買いが強まれば輸入物価の上昇を通じて日本のCPI上昇を後押しする。日銀はこのシナリオを念頭に、長短金利操作を続けている。

ただ、欧米の金融正常化を当てにしたかじとりにはもろさも共存する。例えば為替相場。主要国の金融政策以外にも、北朝鮮と米国の応酬など地政学リスクが高まれば、安全資産との位置付けから円買いが強まりやすくなる。黒田総裁も自身の財務省での経験などもふまえ、為替は「一筋縄でいかない」と認めた。

日銀が動けない間に米欧が金融正常化を着実に進めれば、次の景気後退期には緩和余地の違いがより大きくなる。日銀内部では08年の米金融危機時に緩和の余地が乏しかったという反省がある。先行して緩和に動いた米国との金利差が縮まり、急速な円高が景気悪化を加速させた。

日銀は追加緩和にも動きづらい状況だ。片岡剛士審議委員は31日、物価目標の達成時期が後にずれるなら「追加緩和手段を講じることが適当」と現行政策に反対票を投じた。だが一段と緩和をすれば金融機関の収益などへの悪影響が強まるだけでなく、緩和の手じまいも一段と困難になる。

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