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景気「実力超え」続く 潜在成長率上回る
7~9月民間予測、7期連続プラス成長

2017/11/1付
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日本経済は緩やかながら息の長い景気回復が続きそうだ。民間シンクタンク10社が31日公表した最新の予測では7~9月の実質経済成長率の平均は年率1.5%と7四半期連続のプラス成長。海外経済の回復が重なって国内景気もグレートモデレーション(大いなる安定)といえる基調を保つ見込みだ。ただ東京五輪の特需減退など、先行きには脆弱性もはらむ。

「極めて緩和的な金融環境と大型経済対策の効果を背景に、景気拡大が続く」。31日に記者会見した日銀の黒田東彦総裁は強気な見通しを示した。内閣府が15日に示す2017年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値についても底堅い結果を予想する向きが多い。民間予測の平均値通りなら1%程度とされる経済の「実力」を示す潜在成長率を上回る強めの回復だ。

12年12月を起点に景気拡大局面入りし、戦後2位のいざなぎ景気を超える回復途上にある日本経済。大きなけん引役の一つが輸出・生産だ。経済産業省が31日発表した7~9月の鉱工業生産指数(10年=100、季節調整済み)は102.5で前期比0.4%上昇。リーマン・ショックが起きた08年7~9月以来の水準だ。

9月単月は前月比1.1%低下したが、ならしてみると「生産は持ち直しの動きをみせている」(経産省)。黒田氏も「米国経済の拡大はすでに100カ月ぐらい続いているが、まだまだ続きそうだ」と外需に楽観的な見通しを示した。メーカーは先行きも強気の生産を見込み、設備投資需要で工作機械などが伸びる。都心部のオフィスビルなどの電気設備の生産も増えそうだ。

雇用への景気の波及度合いも強まっている。厚生労働省が31日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は8月と同じ1.52倍。1974年2月以来の高水準だ。9月の完全失業率は2.8%で、働く意思があれば誰でも働ける「完全雇用」状態になっている。

長期的な視点で人材を囲い込むため企業は正社員の採用を増やしている。9月の正社員は3483万人で前年同月より76万人も増えた。人材確保で強まっている潮流の一つが、総務や経理など管理部門の採用増だ。

みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは「海外企業の買収など業容拡大に伴い、管理部門を強化する動きもある」と指摘。即戦力をとるための転職市場も活況だ。

一方、商品販売や営業など販売職の新規求人は0.4%増にとどまった。リーマン・ショックによる景気悪化から抜け出した10年度以降で、増加率は最も小さい。

雇用面の明るさが強まり消費意欲は戻ってきている。9月の家計調査が2カ月ぶりに前年同月を下回ったのは、気温が高かった前年の反動でエアコンが落ち込んだほか、台風直撃でレジャー消費が減るなど天候要因が重荷となったためだ。食料や衣料品への支出は増えており、総務省も「消費は持ち直してきている」と判断している。

消費者物価の伸びは日銀が目指す2%にほど遠いものの、小売り大手の値下げなどが消費を下支えしている。

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