2018年11月17日(土)

再処理工場の安全立て直せ

2017/10/30 23:59
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青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場で、ずさんな安全管理による点検漏れが見つかった。運営主体である日本原燃は2018年の稼働をめざしているが、原子力規制委員会は事態を重くみて、稼働の前提になる安全審査の中断を決めた。

再処理工場は原子力発電所の使用済み核燃料の再利用をめざす核燃料サイクルの要だ。当初は1997年に完成予定だったが、技術的なトラブルが続き、20回以上も延期されてきた。11年の東日本大震災後も地震対策などを見直し、規制委が審査していた。

だが8月、非常用電源を置いた建屋に大量の雨水がたまり、過去14年間で一度も点検していないことが分かった。9月には同社が運転するウラン濃縮工場でも検査漏れが見つかった。安全管理の基本ができておらず、規制委が審査中断に踏み切ったのは当然だ。

検査漏れの背景として懸念されるのが、稼働予定が何度も先送りされたり、工程の見直しを迫られたりしたことによる、職員の安全意識や士気の低下だ。

日本原燃は原発をもつ電力会社が共同で設立し、経営陣や職員も寄り合い所帯として発足した。再処理事業が国策として決められた経緯もあり、職員に「自分たちの工場」という意識や責任感が乏しいと指摘されてきた。

今回の問題を受け、電力各社は日本原燃に検査要員ら20人を派遣することを決めた。だが、人を増やせば解決できる問題なのか。

原燃の経営陣がもっと危機感をもち、検査や保全、情報の共有や公開など安全管理体制を初心に返って築き直すべきだ。外部から安全管理のプロを招き、職員の士気を保つ仕組みを取り入れる必要もあろう。

国内では原発の再稼働が遅れ気味で、使用済み核燃料やプルトニウムの需給を考えれば、再処理工場を早期に稼働させる必要性は薄れている。18年の稼働目標ありきではなく、まず安全管理の立て直しから取り組むべきだ。

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