2018年7月22日(日)

夜の観光消費を伸ばそう

2017/10/30 0:32
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 訪日旅行者の増加に伴い、夕方から夜にかけての観光消費をどう伸ばすかという課題が浮上してきた。今まで大都市から地方を日帰りで訪れていた旅行者が地元に宿泊すれば地域振興にも役立つ。官民で協力し、体制を整えたい。

 日本政策投資銀行などの2016年の調査では、訪日旅行で不満を感じた点として、多くの外国人が夕方以降の楽しみ方の乏しさを挙げた。米国人だと旅行代金、英語の通じにくさに続き3位。アジアからの旅行者でも4位だ。

 シンガポールでは夜の動物園を巡る催しが人気だ。欧州では荒廃した地区にライブハウスやバーを設け、文化を発信しにぎわいを創出した例がある。こうした試みは国内旅行者も引きつけ、地元消費の掘り起こしにも役立つ。

 英国では劇場や飲食店など「ナイトタイム産業」の市場規模が10兆円に達したとの試算もある。この流れを後押しするため、ロンドンでは地下鉄の終夜営業も始まった。日本も夜の街の魅力をどう健全に育てるか考えるべき時だ。

 日本でも私立水族館や書店が深夜に客を受け入れたり、工場の夜景鑑賞会を開いたりするなど「点」としての成功例は各地にある。こうした試みを「線」や「面」に広げ回遊、滞在してもらうには幅広い関係者の協力が要る。

 美術館や庭園が夜も開館すれば観光客に喜ばれよう。公共ホールを遅い時間でも使えれば、夜間の公演を開きやすくなる。公共交通機関の深夜運行も音楽鑑賞や観劇、飲食店経営の応援になる。

 屋台や音楽クラブなどの営業場所や時間への規制も、見直す余地はあるのではないか。欧州では市役所などに夜間観光の責任者を置き、飲食店や音楽関係者との連携の窓口や政策の司令塔になっている例もある。参考になろう。

 経営者も発想を転換すべきだ。男性の団体客が主役だった温泉街などの地方観光地は、女性客や外国人などが気軽で便利に楽しめる店がまだ足りない。市場の変化をビジネスの好機としたい。

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