2017年11月20日(月)

介護報酬引き下げで制度の持続性高めよ

社説
2017/10/30付
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 介護サービスの公定価格である介護報酬を2018年度から見直すための議論が、本格的に始まった。高齢化に伴い、介護費用は制度を創設した00年度の3倍の10兆円に膨らんでいる。メリハリをつけながら、全体として費用を抑制していくことが欠かせない。

 介護報酬は3年ごとに、事業者の経営状況などを踏まえ見直すことになっている。検討の資料として厚生労働省がまとめた経営実態調査によると、介護サービス全体の16年度の利益率は平均3.3%で、3年前より4.5ポイント下がった。15年度の改定がマイナス改定だったことや人手不足で人件費が上がっていることが背景にある。

 ただ、訪問介護は4.8%、デイサービスは4.9%などと比較的高い水準となっている。中小企業全体の平均は2.6%だ。

 もちろん利益率は事業者によって差があり、利益率が低くても良質な事業者の破綻を招かない工夫は必要だ。だが制度の持続性を高め、真に必要な人に質の高いサービスを届けるためにも、切り込むべきところには切り込んでいかなければならない。

 とりわけ、訪問介護のなかでも、料理や掃除などを手助けする生活援助は、見直しがいる。サービスを担う人の資格要件を緩め、報酬を下げる議論がされているが、それだけでは不十分だ。将来的には軽度者の生活援助を介護保険の給付対象から外す議論も必要ではないか。その場合でも介護保険と同じヘルパーが担いやすくすれば、利用者の不安も薄らぐだろう。

 また、生活援助の回数は全国平均で月10回ほどだが、利用者により大きなばらつきがあり、100回以上のこともあった。生活援助に限らず、真に必要なサービスかを見極め、滞りなく提供する仕組みが必要だ。症状が重くなるのを防ぐ、質の高いサービスの事業者を評価することも欠かせない。

 介護費用が膨らめば、介護保険料も高くなる。制度創設当初の月額3千円弱から、すでに5千円台半ばまでになっており、25年度には8千円を超える見通しだ。

 サービスの無駄を省き、より効率化することはもちろんだ。あわせて、低所得者に配慮しつつ利用者の自己負担を上げることや、保険料を負担する年齢を引き下げることなども、考える時期に来ている。健康寿命を延ばし、医療や介護が必要になるのを防ぐ策も重要だろう。

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