2018年1月19日(金)

福島復興へ汚染土の処理急げ

2017/10/28 23:00
保存
共有
印刷
その他

 東京電力・福島第1原子力発電所の事故で生じた放射性物質を含む汚染土を運び込み、最長30年にわたり保管する中間貯蔵施設が福島県大熊町で稼働した。

 原発事故から6年半以上たち、福島県内の除染は原発に近い帰還困難区域を除けばほぼ終わった。だが除染に伴って生じた汚染土は各地の仮置き場に保管されたままだ。貯蔵施設の稼働を機に、国や自治体は仮置き場の解消を急ぎ、復興に弾みをつけてほしい。

 この施設は大熊町と双葉町にまたがり、最大で東京ドーム18個分に当たる約2200万立方メートルの汚染土を受け入れる。環境省が総事業費約1兆6000億円を投じ、昨年秋に施設の建設を始めた。その一部が完成し、土壌を運び込むことになった。

 稼働にこぎつけたとはいえ、なおも課題は多い。ひとつは建設予定地が東京都千代田区の約1.4倍、1600ヘクタールに及び、国がこれまでに取得できたのは約4割にとどまっていることだ。

 地権者は2300人を超え、国からの補償内容に難色を示している人もいる。環境省は施設の意義や目的を粘り強く説明し、地権者の理解を得て用地取得に全力を挙げてもらいたい。

 各地の仮置き場から中間貯蔵施設へ汚染土を円滑に輸送できるかも課題が残る。沿道は大型トラックが頻繁に行き交うことになり、汚染土の飛散防止や交通事故への対策が欠かせない。国が事前に輸送計画を丁寧に説明し、住民の理解を得ることが大事だ。

 仮置き場が解消すれば、住民の被曝(ひばく)リスクを下げられる。仮置き場がある自治体も輸送に協力する必要がある。

 国は福島県を汚染土の最終処分地にしないと約束している。だが中間貯蔵施設の運用終了後、汚染土を県外に運び出す見通しがあるわけでもない。土壌の分別により貯蔵量を減らしたり、貯蔵中に放射線量が下がった土壌をより分けたりするなど、汚染土の量を減らす技術開発にも注力すべきだ。

日経電子版が2月末まで無料!初割のお申し込みは1月31日まで!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

東京電力汚染土福島第一原子力発電所環境省



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報