2017年11月20日(月)

米IT企業の決算が示す株高持続の条件

社説
2017/10/29付
保存
共有
印刷
その他

 世界の株式市場が上昇基調を保っている。ダウ工業株30種平均が最高値圏にある米国市場を起点として、日本や欧州に株高が広がるという構図だ。

 米国で株価上昇が続いている最大の要因のひとつが、好調な企業業績だ。米調査会社トムソン・ロイターによれば主要500社の2017年7~9月期決算は前年同期に比べ7%程度の増益となったもようだ。IT(情報技術)関連を中心に7割超の企業は、アナリストの事前予想を上回る好決算を発表している。

 一方で、株価上昇が長く続いていることへの警戒感も高まってきた。世界の株高をけん引する米国企業の収益に陰りが見えないかどうかといった点にも、目を凝らす必要がある。

 株価の上昇にむすびつく米IT企業の決算には、大きく分けてふたつの特徴がある。

 ひとつはグローバルな景気拡大の恩恵を受け、米国だけでなくアジアなど国外の業務が収益に貢献していることだ。

 グーグルの持ち株会社であるアルファベットの7~9月期の純利益は前年同期比33%増え、過去最高となった。業績を押し上げたのはアジアでの広告収入の伸びだ。赤字続きのツイッターも日本などアジアの売上高が伸び、上場後初の黒字転換の道筋が見えてきたとの声が聞かれた。

 もうひとつの特徴は構造改革だ。IBMは22四半期連続して減収となった。しかし新分野として投資を続けてきたクラウド事業の拡大が予想を上回ったため、株式市場の評価は高まった。

 日本でも業績の上方修正が相次ぎ、日経平均株価は21年3カ月ぶりに2万2000円台を回復した。業績の裏づけを伴う株価上昇は消費者心理の好転につながり、経済全体に良い影響を与える。日本企業が米国企業と競いグローバル化と構造改革の手綱を緩めないことが、株価の持続的な上昇と景気回復のために重要となる。

 世界を見渡せば北朝鮮の核ミサイル問題など地政学リスクがくすぶる。米欧の中央銀行が金融緩和からの出口戦略に動いていることもあり、金融市場の先行きには不透明感も強まっている。

 企業が収益力を高め、市場変動に対する抵抗力をつけているかどうか。投資家は過度の楽観に傾くことなく、厳しく見きわめなければならない。

今なら有料会員限定記事がすべて読めます!
電子版10日間無料お試しキャンペーンは11月20日まで!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報