2017年11月20日(月)

欧州中銀は混乱なき緩和縮小を探れ

社説
2017/10/28付
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 欧州中央銀行(ECB)が2018年1月から国債などの資産購入額を減らし、量的金融緩和を縮小することを決めた。米連邦準備理事会(FRB)に続いて、大規模緩和からの出口に向かう。ECBには、政策転換に伴う市場や海外経済への影響にも十分な目配りをしてほしい。

 ECBは26日、現在は毎月600億ユーロ(約8兆円)としている国債など資産購入額を、来年1月から毎月300億ユーロに減らして9月末まで9カ月間は買い入れを続けることを決めた。同時に経済状況しだいでは買い入れ期間を延長したり、資産購入規模を再拡大したりする可能性も示した。

 ECBは緩和縮小に伴うユーロ高など為替市場への影響も注視しながら、緩和縮小を段階的に進める見通しだ。

 08年のリーマン・ショック後の世界金融危機に対応し、日米欧の主要先進国は、国債など資産を購入する異例の金融緩和策を進めてきた。

 10年近くたって世界経済は回復軌道に乗り、中央銀行も徐々に金融緩和の縮小にかじを切り始めた。先を行く米国は、今月から保有資産の圧縮に動き始めた。英イングランド銀行(中央銀行)も近く、金融危機後では初めて政策金利の引き上げに動くとの観測が強まっている。

 世界経済は堅調で、株式、不動産など資産価格も上昇基調が続いている。資産価格が上がる背景には、実体経済の回復や企業業績の好転とともに、主要中央銀行による大規模な金融緩和の影響もあるとみられる。米欧の金融緩和政策が大きな転換点を迎えるなかで、今後市場にどんな反応が出てくるかは注意が必要だ。

 日銀は13年に就任した黒田東彦総裁のもとで、2%の物価目標達成を目指して金融緩和を続けている。足元の消費者物価(生鮮食品を除く)上昇率は1%にも届かず、目標達成への道は険しい。ただ、米欧の金融緩和の縮小で長期金利が上がれば、日本の金利にも上昇圧力がかかる可能性がある。

 米欧の緩和縮小で、新興国への資金流入にどんな影響が出てくるかも気がかりだ。米欧とも物価上昇率は落ち着いているので金融引き締めを急ぐ緊急性はない。米欧の中央銀行は、自らの政策が国際的な資金移動や海外経済に及ぼす影響も点検しながら、慎重に政策を運営してほしい。

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