2018年7月22日(日)

登記の義務化含む土地対策を

2017/10/27 0:33
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 誰のものかがわからない土地が今のままだと2040年に約720万ヘクタールに上るという試算を元総務相の増田寛也氏が座長を務める民間研究会が公表した。北海道本島の面積にほぼ匹敵する広さだ。由々しき事態と言わざるを得ない。

 16年時点の推定面積は約410万ヘクタールだから、25年程度でさらに7割強増えることになる。土地が放置されることに伴う経済的な損失は累計で6兆円という。

 こうした土地が増えたことで、災害復旧や公共工事ではすでに支障が出ている。農地の規模拡大も難しくなるし、固定資産税の徴収もままならない。区画や面積を確定する地籍調査も国土の半分程度でしか終わっていない。

 背景にあるのは土地に対する国民の意識の変化だ。地価下落で土地を保有する魅力が薄れ、管理する手間や税負担を嫌って相続時に登記しない人が増えている。

 現在の不動産登記制度がずさんな点も問題を深刻にしている。明治や大正時代に登記されたままの土地がかなりあることはかねて指摘されていた。登記制度の空洞化を防ぐ有効な手立てを打ってこなかった法務省の責任は重い。

 現状でいいはずがないのだから、登記簿や固定資産税の課税台帳などを照合し、土地情報を一元化する調査を早急にすべきだ。そのうえで所有者が不明な土地の情報を公表すればいい。

 それでも名乗り出なければ、所有者の同意がなくてもその土地を広く活用できる制度をつくる。農地ではすでに、一定の手続きをすれば都道府県知事の裁定で田畑に「利用権」を設定し、第三者に貸与できる仕組みがある。

 税負担や手数料を大幅に軽減したうえで、現在は任意とされる不動産登記を義務化することも必要だ。最終的には土地の所有権のあり方から再考してほしい。

 現在、国土交通省や法務省、農林水産省などが検討を始めている。省庁の縦割りではなく、政府として総合的かつ抜本的な対策をまとめるべきだ。

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