2017年12月18日(月)

糸井重里氏と「ななつ星」の生みの親が語るメディア論
アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦

コラム(ビジネス)
(1/2ページ)
2017/10/29 6:30
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 10月中旬、日本最大規模の広告業界のイベント「アドテック東京」で、今年株式上場した「ほぼ日」代表の糸井重里氏と、豪華列車「ななつ星」の生みの親として有名なJR九州会長の唐池恒二氏が対談した。テーマは「メディアを作る」ということについてだった。

糸井氏と唐池氏の対談(写真提供:ad:tech tokyo 2017)

糸井氏と唐池氏の対談(写真提供:ad:tech tokyo 2017)

 メディアと言っても糸井氏のイメージは、テレビや新聞、ニュースサイトなどのような媒体だけではない。糸井氏が企画している「生活のたのしみ展」という展覧会であったり、ななつ星もメディアではないかと糸井氏は提起する。

 確かに、メディアという言葉は「medium」という中間にあるもの、間に入って媒介するものという単語の複数形から来ていると言われている。糸井氏は、ひょっとしたら井戸を作ること自体もメディアかもしれないし、ある町で犬を飼って、その犬が話題になればそれもメディアかもしれないと語っていた。

 糸井氏のように考えると、いろんなものの見え方が変わってくる。

 ネットメディアにおいては、2016年に騒動になったウェルクやスポットライトのようなキュレーションメディアのように、低コストで効率的に記事を量産する手法が注目されがちだ。しかし糸井氏の視点でメディアの価値や意義を考えると、実はデジタルで何もかも効率化できる時代になったからこそ、手間をかけることが重要になっているのではないかという世界が見えてくる。

 唐池氏が例に出していたのは、ある焼鳥屋の逸話だ。手作業で鶏肉をカットして手ざししていた焼鳥屋がある時効率化するために、あらかじめカットされた冷凍肉を輸入することにする。こういう経営判断は大企業でもよくあるだろう。

 焼鳥屋の利益率を考えたら一理ある判断だ。しかし今の顧客は家でも作れるような料理を、わざわざ外で食べるだろうか。顧客は自分では作れない手間のかかった料理を出してくれるレストランにこそ行くのではないだろうか、というのが唐池氏の問題提起だ。ななつ星でも料理を決める際に、手間のかかった料理を出せる料理人を選ぶことにしたそうだ。

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