2017年11月20日(月)

中国の権力集中と習氏礼賛を懸念する

社説
2017/10/26付
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 5年に1度の中国共産党大会では、既に別格の指導者である「核心」になった習近平総書記(国家主席)が党規約に自らの名を冠した思想を盛り込んだ。権力集中が一段と進み、人事でも最高指導部を含む政治局委員25人の過半数を習氏に近いメンバーが占めた。

 中国では習氏を礼賛する動きが目立ち、インターネット上での言論統制も厳しい。共産党は上場企業内に党組織を設け、管理を厳格にしている。政治、経済、社会の各方面で自由闊達な雰囲気が薄れつつあるのは大きな問題だ。

 習氏は最高指導部に若手から次期トップ候補を抜てきする慣例を破った。国家主席の任期は2期10年と憲法が定める。共産党トップの総書記もこれに準じて10年で引く慣例だ。しかし今回、「ポスト習近平」候補を絞り込まなかったため、2022年の次期党大会で任期延長もありうる。

 大胆な軍改革を進めた習氏は、要となる中央軍事委員会の副主席に文民を登用せず、委員も11人から7人に減らした。集権と共に強軍を打ち出しており、アジアと世界の軍事バランスへの影響を注意深く見守る必要がある。

 習氏は党大会の演説で35年に現代化建設に基本的にメドをつけ、建国100年となる49年には米国に比肩する強国をつくるとした。30年以上も先までの計画にふれたのは極めて異例だ。

 注目すべきは「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を盛り込んだ共産党規約の改正である。党規約に個人名が入るのは建国の指導者、毛沢東と、「改革・開放」政策を進めた鄧小平だけだ。トップ就任から5年の習氏が鄧小平に匹敵する業績をあげたとするのはやや無理がある。

 習氏の業績とされるのは、多くの政治家、官僚、軍幹部を摘発した「反腐敗運動」で、自らの権力固めの手段でもあった。習政権は既に公務員ら140万人を処分し、今後も手を緩めないとしている。経済政策の立案・執行に支障がでないようにしてもらいたい。

 一方、習政権の基盤が固まれば対米、対日など対外政策も安定する可能性がある。中国内の権力闘争に左右されるリスクが減るからだ。日本側もこれをとらえて対中関係の改善を探る必要がある。とりわけ今年は日中国交正常化から45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年に当たる。この機会を逃すべきではない。

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