2018年9月19日(水)

米はNAFTAを危うくする姿勢改めよ

2017/10/25 0:55
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 米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉が暗礁に乗り上げている。米国が協定の根幹を揺るがしかねない無理な要求を掲げ、受け入れられなければ脱退も辞さない態度を示しているのが原因だ。

 NAFTAは北米経済を支える要の役割を果たしてきた。米トランプ政権はその存在を危うくするような姿勢を改めるべきだ。

 トランプ大統領はNAFTAが米国の貿易収支や雇用に悪影響を与えているとして、再交渉または脱退を昨年秋の選挙公約に掲げた。これを受けて見直し交渉が始まったが、米国側は極めて強硬な要求を突きつけている。

 ひとつは「原産地規則」を厳しくする見直しだ。米国が域内からの輸入自動車に関税をかけない条件として、NAFTA加盟3カ国での部材調達率を従来の62.5%から85%以上に引き上げるとともに、新たに米国製部材の調達率を50%以上にすることを求めた。

 米国をはじめとする自動車メーカーは、NAFTAのもとで広がった部品供給網を活用しながら質の良い製品を低コストで製造できるようになり、域内での自動車の生産や消費も伸びた。米国の要求が通れば供給網は分断され、生産拠点としての北米市場の魅力は低下せざるをえなくなる。

 貿易を巡る紛争解決手続きとして機能してきた2国間パネルによる審査の廃止も求めている。米国に不利な決定が多いとの不満による。5年ごとに更新されなければ協定が自動的に廃止になるとのサンセット条項の導入も求めた。

 いずれも一方的な要求で、NAFTAを骨抜きにするような内容ともいえる。強硬な姿勢を示して譲歩を迫るトランプ流の交渉術だとの見方もあるが、巨大な米国市場を武器に脅しをかける姿勢をとり続ければメキシコやカナダとの信頼関係は崩れかねない。

 NAFTAの弱体化や崩壊は米国経済にとっても有害なだけだ。米国の産業界や与党・共和党の議員など政治家も政権に対して姿勢の転換を強く促すべきだ。

 NAFTA再交渉の行方は北米で事業展開する日本企業にも大きく影響し、戦略の見直しを迫られる可能性もある。日本は米国から2国間自由貿易協定(FTA)の締結を打診されているが、友好国に対しても「米国第一主義」で臨む米政権の交渉姿勢は日本にとっても懸念材料といえるだろう。

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