/

春秋

経営危機に陥った東芝を再建した立役者といえば、土光敏夫氏の名前を思い浮かべる人も多いだろう。石川島播磨重工業の会長にとどまりつつ東芝の社長に就任し、現場の人とも気さくにふれあい、業績を回復させた後は財界活動や行革推進へ。そんな理解が一般的だ。

▼しかし経営学者、伊丹敬之氏の見立ては異なる。社長在任7年余りのうち後半は業績も低迷し、職場に改革を倦(う)む気分が広がった。本人も「東芝の病根は深い」と嘆いていたという。当時の東芝ほど経営の難しい会社はなかったと考える伊丹氏は、土光氏の再建策は勝利ではなく「引き分け」で終わったと近著で分析する。

▼その東芝で社長を務めた西室泰三氏が亡くなった。同社が今のような苦境に陥っていなければ、きのう各紙が掲載した記事も「名経営者」一色だったろうか。故人の評伝には珍しく、引退後も経営に影響力を残した点などを厳しく指摘した文が目立った。先が見えぬまま決断し、結果だけで審判を受ける。経営者の宿命か。

▼伊丹氏の思う東芝経営の難しさとは何か。巨大な規模。電球から発電まで複雑な事業構造。人数が多く決断しない管理職。首脳陣の権力闘争や名門意識のよどみも加わる。危機からは救ったものの改革半ばで土光氏が退き40年余り。西室氏を含め何人ものトップがその座につき、去った。今の東芝は昔と変わっただろうか。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

企業:

関連キーワード

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン