2018年7月22日(日)

中国の国有企業優遇と民業圧迫が心配だ

2017/10/20 1:14
保存
共有
印刷
その他

 中国の習近平・共産党総書記(国家主席)は5年に1度の共産党大会の報告で国有企業の強化と拡大を明確に打ち出した。中国では長く「国進民退」と呼ばれる国有企業の優遇と民業経営の厳しさが問題になってきた。これを解決に導くどころか、さらに問題を複雑にする措置と言わざるえない。

 これに連動して、共産党組織を通じた民営企業への管理強化もすでに動き出している。習氏は「あらゆる業務への党の指導を確保する」との原則を強調した。これでは民営企業の経営自主権を阻害しかねない。中国の企業関連法制との矛盾も指摘される。

 中国は2020年を目標とした、ややゆとりのある「小康社会」づくりには、ほぼメドが付いたとする。習氏はその後、15年間を経た35年までに社会主義の現代化建設を基本的に実現し、新中国建国100年の21世紀半ばまでに経済、軍事、文化で米国に並ぶ強国になる長期構想を示した。

 それには新技術を持つ企業活力を生かす民間経済の飛躍的な伸びが不可欠だ。成功すれば雇用確保にもつながる。13年の党中央委員会第3回全体会議(3中全会)では「資源配分で市場に決定的な役割を担わせる」と決めたはずだった。だが今回の報告では寡占排除などへの言及にとどまっており、国有企業の優遇は明らかだ。

 一連の方針の裏には、共産党のコントロールを直接受ける国有企業を強化・拡大しなければ、経済社会の支配体制に綻びが出るとの危機感がある。これは逆だろう。民間主導の持続可能な成長を確保できなければ不安定要素が増える。中国に進出している外資系企業の間でも懸念する声は多い。

 7~9月期の実質経済成長率は前年同期比6.8%と4~6月期より0.1ポイント減った。インフラ投資が下支えする一方、民間投資は振るわない。「不動産は住むもので投機対象ではない」との習氏の言葉が示すように不動産バブルは深刻だ。企業の債務比率も高い。金融危機防止、過剰設備廃棄はうたわれたが今後も注意が必要だ。

 共産党が支配する中国では経済と政治を切り離せない。中国経済には常に判断が難しい政治リスクが潜む。国有企業を「強く、優秀に、大きく」との方針と表裏一体である共産党組織の民営企業への介入はその典型例だ。民間経済の発展こそが中国の将来を切り開く。それを忘れてはならない。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報