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日本版GPS「みちびき」活用へ先手
マゼランシステムズが受信機 低価格・精度で大手に挑む

2017/10/20付
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 衛星の信号受信装置を開発するマゼランシステムズジャパン(MSJ、兵庫県尼崎市)は日本版GPS衛星「みちびき」に対応したチップ型の受信機を2018年春に発売する。価格を10万円程度に抑え、農業機械やドローンなどへの採用を目指す。来春に本格運用が始まるみちびきを使えば物体の動きを数センチメートル単位で正確に把握でき、自動運転などに道が開ける。MSJはこの受信機で市場をリードしたい考えだ。

9月には北海道でトラクターの自動運転を実証実験した

9月には北海道でトラクターの自動運転を実証実験した

 現在日本はGPSで主に米国の衛星を利用しているが、日本の位置情報取得に特化したものではないため、場所によっては精度が落ちるといった課題があった。政府は日本列島の真上を通過し、正確な位置把握が可能となる準天頂衛星「みちびき」を順次打ち上げており、来年春から4基体制で本格運用を始める。

 MSJが確立したのはこれに対応した位置情報の受信技術だ。9月に内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)として北海道大学と共同で実施した実証実験では、みちびき3号機から電波を受信し、受信機を積んだトラクターを自動運転。高精度に的確な経路を耕せることを確認した。受信機を研究機関のほか、自動車や農機の大手メーカーに実験用としてすでに約60台出荷している。価格は現在100万円弱。

 現在は基板として提供しているが、18年春には約3センチメートル四方のチップにする。量産化により価格を10万円程度に抑える予定。低価格化でシェアを獲得したい考えだ。19年後半には1センチ角にし、価格も数千円にするのを目標としている。

 衛星からの電波は電離層やチリにより、上空を通過する際にズレが生じる。このため国内の約1300カ所の電子基準点から既存のGPS衛星を使って判明するズレの情報をもとに、位置情報を補正する必要がある。MSJが開発した受信機は、みちびきから来るデータからこのズレの情報を的確に選び取り、ドローンなど長距離を動く移動体が正確に位置を把握できるようにする。

 こうした技術はみちびきを活用する上で必須となるため、三菱電機や日本無線なども開発を急いでいる。

 小規模なMSJが大手企業に対抗できる背景には技術の蓄積がある。同社は既存の米国やロシアのGPS衛星を活用して数センチメートル単位で精細な位置情報を得られる受信機を開発済みだ。農機大手に出荷し、すでに自動運転トラクターとして製品化されている。

 通常のGPS信号をそのまま受信していては大まかな位置情報しか得られない。この受信機は「搬送波」というGPS信号を運ぶ波長の短い電波を捉え、よりきめ細かい位置情報をはじき出すことができる。既存のGPS衛星だけを使っているため、長距離を移動するドローンなどの物体に弱いなどの弱点があるが、みちびき対応の受信機ではこうした制約はなくなる。

 三菱電機は「人工衛星本体も手掛けており、受信技術にも一日の長がある。年度内には受信機を発売したい」としており、今後激しいシェア争いが予想される。

(上田志晃)

 マゼランシステムズジャパン 1987年の創業。創業者で社長の岸本信弘氏はヨットの全日本選手権で優勝した経験を持つ。ヨットで培った測量や方向探知の技術を広く実用化したいと、民間向けに活用が進み始めた全地球測位システム(GPS)に着目した。大阪で電子材料の商社に勤めたのち、府内で起業した。
 携帯型GPS端末や受信機の基板の輸入販売から始め、大学の研究者を多く採用、自社開発にも乗り出した。今年には「未来創生ファンド」などから総額4億円の出資を受けた。2016年度の売上高は約2500万円。

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