2019年8月25日(日)

イラン核合意を崩壊させるな

2017/10/16 23:31
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米欧など6カ国が2015年にイランと結んだ核合意について、トランプ米大統領が演説で「イランが合意を順守しているとは認めない」と述べた。合意からすぐには離脱しないが、対イラン制裁を再開するかどうかの判断を議会に委ねるという。

発言を憂慮する。米国が制裁を再び発動すれば核合意は実質的に崩壊する。イランの核開発の再開ひいては周辺国の核開発競争を招き、中東をさらに不安定にしかねない。イランとの間に築いた信頼の扉を閉ざしてはならない。

核合意は、イランが核開発を制限する見返りに米欧がイランに科してきた経済制裁を解除する、という内容だ。外国企業はイランへの投資が可能になり、長く孤立を続けてきたイランは国際社会へ復帰する足がかりを得た。

トランプ大統領は「イランは軍事施設の査察を拒否し、ミサイル開発を続けている」と批判した。だが、国際原子力機関(IAEA)は「必要なすべての場所へ訪問できている」として、イランは合意に基づく取り決めを守っていると説明している。

核合意は英仏独やロシア、中国との多国間の協定だ。米国以外は合意を評価し、維持を主張している。米国が一方的に核合意を破棄すれば、イランに核開発を再開する口実を与えるだけだ。

イランによる弾道ミサイル開発は地域の緊張を高めている。ただ核合意は核開発に限った合意であり、ミサイル開発は制限の対象ではない。核合意でできた対話のパイプをいかしてミサイル開発の自制を求めていくのが筋だ。

イランが合意に違反したと主張しながら合意にとどまり、議会には制裁の再発動より圧力強化のための国内法の改正を求める、という説明はわかりにくい。

大統領は核合意を「最悪の合意」と主張してきた。イランが守っていないと宣言することでオバマ前大統領の実績を否定してみせる狙いだとすれば、混乱を招くだけと言わなくてはならない。

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