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安倍政権5年へ審判を下す衆院選

2017/10/9付
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 衆院選があす公示され、22日の投票日に向けて選挙戦が始まる。選挙直前に新党がふたつ誕生し、何が何だかわからないという有権者も少なくないだろう。ここは政治の基本に立ち返り、約5年間に及ぶ安倍晋三首相の政権運営への審判を下す場と考えればよいのではなかろうか。

 1996年の衆院選から小選挙区制が導入され、政界の枠組みは自民VS新進~民主~民進の二大政党体制が続いてきた。

方向性が不透明な希望

 その民進党がふたつに分裂し、保守系は東京都の小池百合子知事がつくった希望の党に合流し、リベラル系は立憲民主党を立ち上げた。共産党などを含めた野党の大同団結を期待する市民運動勢力からは失望の声が出ている。

 だが、考え方の違う勢力が「非自民」だけをスローガンにして一緒になっても結局はうまくいかない例を何度も見てきた。かつては右も左も包含するキャッチオール型だった自民党も近年は保守系にほぼ収束した。非自民を名乗らなくても、政策で対立軸をつくることは可能だ。

 問題は、希望の党の方向性が不透明なことだ。日本記者クラブが開いた8党首の討論会で、小池氏はゴルフになぞらえて「フェアウエーど真ん中で有権者に選択肢を示す」と説明した。

 立憲民主党を結党した枝野幸男代表らを排除したことで、左寄りでないことはわかった。しかし、それと希望の党が掲げる「寛容なる改革保守」はどうつながるのか。そもそも寛容と改革の関係がよくわからない。安倍政権より右寄りと目される候補もいる。

 加えて、わからなさを助長しているのが、首相候補の不在である。党首討論で小池氏は「しっかり戦い抜くのがまずあって、その結果としての判断だ。安倍1強政治を変えていくのが大きな旗印だ」と繰り返すにとどまった。

 非自民という言い回しをしないところから類推すると、自民党に打撃を与え、安倍首相を退陣に追い込んだうえで、新総裁と連立するということなのだろうか。

 小池氏は希望の党の公約発表の際、経済政策は「アベノミクスに代わるというか、加えてといった方が正しい」と語った。同じ保守同士で政策的な違いはさほどないとしても、選挙後に自民党と組むことも視野に入れているならば、明言して選挙を戦うべきだ。

 自公政権打倒を期待する有権者が希望の党に投票し、選挙後に裏切られたら、政治不信はますます高まろう。

 立憲民主党も何がしたいのかが見えてこない。党首討論で、枝野氏は「誰かがどこかで決めて、多くの国民が従わなければならない」と強調した。安倍政権の国会運営がやや強引なのはその通りだが、多数を握った与党が公約したことを推進するのはある意味で当たり前である。

 何でも反対だった社会党が消滅したことを考えれば、抵抗型の政党が長続きするとは思えない。立憲民主党は「安倍政権のもとで格差が広がった」と攻撃するのであれば、具体的な社会保障政策などで違いを打ち出すべきだ。

森友加計の説明丁寧に

 政権選択選挙は、ときの政権の継続を望むのか、望まないのかという選択肢を示すのが本来の姿だ。野党で最も多くの候補を立てる希望の党が与野党交代を目指しているのかが不透明な現状では、安倍政権への通信簿のつもりで投票するしかあるまい。

 党首討論で、安倍首相は突然の衆院解散の大義について「北朝鮮の脅威」を挙げ、「圧力をかけていくことに国民の信を得る」と発言した。外交政策は重要な争点のひとつだが、この選挙が有事への白紙委任であるかのような表現には違和感がある。

 解散表明時の記者会見でほとんどの時間を費やした消費増税分の使途の変更と優先順位が変わった理由も知りたいものだ。

 森友・加計疑惑については「私自身が何度も説明した」「妻については私が代わって十分に話した」と述べるにとどめた。理解を得るためにはもっと丁寧な説明をする必要がある。

 今回の衆院選は、18歳選挙権が導入されて最初の政権選択選挙である。与野党ともこんな程度の説明で、高校生が納得すると思っているのだろうか。

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