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東京23区限定の私大定員抑制は合理的か

2017/10/8付
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 東京23区の私立大・短大の定員増を原則認めない新たな基準を、文部科学省が告示した。

 若者の東京一極集中に歯止めをかけ、地方創生につなげることが目的という。だが、都心の大学に限って一律に規制する政策が、果たして合理的なのか。十分な検証が必要だ。

 政府は23区内での2018年度の定員増と19年度の大学設置を認めず、それ以降も新規立法などで規制を続ける方針だ。学生の流出による地方大の経営悪化や、地域の衰退を懸念する全国知事会などの要望をくんだ措置だ。

 だが、地方から東京圏への若者の移動は、大学入学時より卒業後の就職時のほうが多い。地方の大学が、地域の産業振興や雇用増に貢献できるよう教育・研究力を磨く改革を優先するのが本筋だ。

 地方の小規模私大の多くが定員割れし、学生の選抜機能を失っている。教育の質の低下や経営破綻が懸念される状況だ。しかし、都心の大学の定員を抑制して窮状を救うような発想は好ましくない。

 大学の定員管理は、日本全体を見渡し、国際競争力を高める方向で実施すべきだ。

 18歳人口は現在の120万人から40年に88万人に減少する。今の大学進学率、入学定員が維持された場合、20年後には十数万人規模の供給過剰になる。定員を適正化し、限られた予算を教育・研究の質を高めるために重点的に投資する改革に異論はない。

 その際に、大学に対する外部評価機能を高め、社会貢献度などに応じ、定員や予算を配分する仕組み作りが必要だ。

 20年後には日本の労働人口の半分近くが人工知能(AI)やロボットなどで代替可能という民間調査がある。就労構造の変化に伴い、学部、学科の新増設の機運は今後、高まることが予想される。

 有力私大が集まる23区に限定した規制は、かえって自助努力や国際競争力を弱める懸念がある。

 文科省の告示案に対する意見公募では、「23区の大学規制が地方振興につながる合理的な根拠はない」「若者の選択肢を狭めてしまう」などの批判が多く寄せられたという。

 地方創生は必要だ。が、大学の質を高める改革に水を差してはいけない。政府は、地域振興と大学の競争力強化に矛盾が生じないよういま一度論点を整理し、政策を練り直してほしい。

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