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半導体の買収中断リスク認める ベイン会見、WD係争で「差し止め」なら

2017/10/6付
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 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」を買収する「日米韓連合」の米ベインキャピタルは5日に記者会見を開き、買収の枠組みなどを説明した。総額2兆円の大型案件をまとめた高揚感を示すなか、ぬぐい切れないのが米ウエスタンデジタル(WD)による係争リスクの影だ。売却の暫定差し止めを求めるWDの主張が全面的に通った場合、売却手続きが停止する可能性を認めた。

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 東芝と売却契約を結んだのに関係者との調整がつかず異例の会見中止となった9月28日から約1週間。半年超に長引いた買収交渉の勝者となったベインは晴れて東京都内で単独会見を開いた。

 「東芝メモリの企業価値を高め、3年後をターゲットに東京証券取引所への上場を目指す」。ベインの杉本勇次日本代表はこう打ち上げた。年間数千億円規模は必要な設備投資・研究開発費をベインが主体となって支援する意向も強調した。

 だが会見でWDの訴訟リスクを問われると、とたんに歯切れが悪くなった。WDは東芝メモリの第三者への売却差し止めを求め、国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てており、近く審理が本格化する。重ねて10月上旬にも暫定差し止めを仲裁裁に申し立てる構えだ。

 暫定申し立てに対する裁定結果は18年初めにも出るとされる。東芝は2期連続の債務超過を回避するため18年3月末までの売却完了を目指すが、WDの主張が認められると売却手続きは止まりかねない。

記者会見するベインキャピタルの杉本日本代表(5日、東京都千代田区)
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記者会見するベインキャピタルの杉本日本代表(5日、東京都千代田区)

 「一般論としては正しい」。杉本代表は同日の会見で、株式譲渡を差し止める司法判断が下った場合、期限内に売却できなくなる可能性を認めた。東芝がベインなどと結ぶ株式譲渡契約の中でも、仲裁裁が株式譲渡を違法としたり禁止したりする命令などを出さないことが、譲渡実行の「前提条件」としている。

 東芝側は「WDの権益は両社の合弁会社にとどまり、東芝メモリの売却は問題なく進められる」という認識だ。「WDの主張が認められる可能性は限りなくゼロに近い」(幹部)とする。だが、WDの主張が認められた場合、売却完了への道は一気に険しくなる。

 WDにも長期間の係争を続けにくい事情がある。WDが東芝と共同投資する半導体メモリー生産の四日市工場(三重県四日市市)では、18年以降の稼働を目指し新製造棟の建設が進む。東芝は現状、WD抜きの単独投資を決めている。同工場はWDにとって唯一のメモリー調達拠点。対立が続けば、WDは最先端の製品を確保できなくなる。

 こうした事情を見越しベインの杉本代表は「WDは重要なビジネスパートナーで、彼らとしても(東芝との協業を)続けていきたいはずだ」との見解を示し、「和解が1つのゴール」と話した。

 もう一つのリスクは独占禁止法の審査が期日通りに終わるかどうかだ。杉本代表は「すでに各国にファイリングを終えている。可及的に速やかに終わるよう最大限努力する」と述べた。ベインは事前に周到な準備をしてきたとしているが、限られた時間との戦いになる。

 また、SKハイニックスは拠出額のうち1290億円を新株予約権付社債(転換社債=CB)の取得に充てる。今後10年間は15%を超える議決権を持たない。

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