日中首脳は相互訪問で緊密な意思疎通を
1972年の日中国交正常化から45周年の今年、長く膠着していた両国の政府間交流が本格的に動き始めた。緊迫の度を深める北朝鮮情勢を見据えても、日中間の緊密な意思疎通が極めて重要になっている。民間を含めた人的交流の活発化を歓迎したい。
安倍晋三首相は、先に在日中国大使館が主催した日中国交正常化45周年と新中国の建国記念日を兼ねた祝賀パーティーに出席した。現役首相の出席は15年ぶり。中国の李克強首相とも祝電を交換し合った。こちらは10年ぶりである。
課題だった日本での日中韓首脳会談を巡って、安倍首相は中国の李克強首相を招き、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も交えた3カ国会談を年内に開きたいと明言した。その後、自らも訪中し、次に習近平国家主席の初めての来日につなげる思惑がある。
2012年9月、沖縄県の尖閣諸島の国有化をきっかけに中国で激しい反日デモが起き、多くの日本企業に深刻な被害が出た。その後、中国公船が領海に頻繁に侵入するようになった。この問題は解決されていない。中国側には引き続き強く自制を求めたい。
一方で12年11月に習近平指導部が発足した後の5年間、中国で目立った反日デモは起きていない。安倍首相と習主席は会談を積み重ね、慎重に関係修復を探ってきた。これからは首脳による相互訪問の復活で関係を一段と深めるべき時期である。
衆院選が間近に迫る日本の政治の今後は見通せない。中国もまた18日からの共産党大会での最高指導部人事を控え、政治の季節の中にある。過去の経験では中国の政権基盤が弱い場合、歴史問題などを理由に日本に厳しく出る傾向があった。今後も注意は必要だ。
とはいえ、いかなる政権下でも相互依存する世界2、3位の経済大国の首脳が互いに訪問する枠組みは重要だ。それは国民生活に直結する。安全保障面でも北朝鮮の核・ミサイル問題が喫緊の課題である。11月に来日するトランプ米大統領と十分に連携しつつ、中国とも意思疎通を図ってほしい。
来年は1978年の日中平和友好条約の締結から40周年に当たる。2008年の30周年の際は当時の胡錦濤国家主席が来日した。この好機を逃すべきではない。まず日本で日中韓首脳会談を実現し、その上で日中トップ同士の往来を探る必要がある。