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社会保障費抑制 道半ば 来年度予算、1800億円削減へ

2017/10/5 2:30
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 政府の2018年度予算編成で焦点となる社会保障費抑制を巡る議論が始まった。高齢化などで自然に増える6300億円を5000億円に抑えるほか、待機児童対策に要る約500億円の財源を確保する。1800億円の歳出削減を手始めに、社会保障の持続性を高めるためどこまで切り込めるかが焦点。診療報酬と介護報酬の同時改定や生活保護の見直しを見据えて攻防が激しくなる。

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は4日、社会保障改革について議論した。政府は16年度から18年度までの3年間は社会保障関係費の伸びを毎年5000億円にとどめる財政健全化の目安を定めている。18年度は最終年度になる。

 来年度予算編成で自然増の抑制対象は医療分野が多くなる見通し。診療報酬改定は医師の技術料にあたる本体を引き下げるかが焦点だ。財務省は「医師の報酬が一般の賃金より高水準」と引き下げを目指すが、自民党の厚労族議員は反発する。

 財務省は生活保護制度の見直しも社保費抑制につなげたい考えだ。生活保護世帯は医療費の自己負担がないため、頻回受診や薬の重複投与などが問題になっている。4日の財制審では適正な受診を促す指導の徹底や後発医薬品の使用促進を掲げた。生活扶助の基準についても、一般の低所得世帯の消費実態との公平性が保てるよう検証する。

 18年度予算編成では、自然増に加え、待機児童対策の財源づくりも課題だ。18年度は10万人規模の保育の受け皿整備を進める見通しで、500億円分の恒久財源の確保が必要。財務省は児童手当で高所得者に特例で給付している措置の廃止を目指しているが、与党には慎重論がある。

社会保障改革について議論する財制審の委員ら(4日、財務省)

社会保障改革について議論する財制審の委員ら(4日、財務省)

 ただ、1800億円分の削減では切り込み不足との指摘もある。社会保障給付費は12年の109.5兆円から25年に148.9兆円に急増する。22年から団塊の世代が後期高齢者である75歳以上に突入し、医療や介護、年金の費用が急激に増えるためだ。

 社保関係費の伸びを年5000億円に抑える目安ぐらいでは、社会保障制度を維持できなくなる可能性がある。経済財政諮問会議の民間議員は現在の目安以上に伸びを抑制すべきだと提言する。

 ただ、4日開いた社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)では、医療費抑制策に反対意見が相次いだ。特許切れ新薬の価格を後発薬の水準まで引き下げたり、差額分を患者負担にしたりして医療費の削減につなげる施策をまず議論。委員から「後発薬を使うインセンティブが無くなる」など反対論が大半を占めた。

 患者が紹介状を持たずに大病院を受診した場合の定額負担の対象拡大は、地域の診療所などをまず受診するよう促すもの。だが「導入しても患者の受診行動は変わっていない」など慎重な検討を求める意見が出た。

 衆院選の選挙結果によって首相の求心力が低下したり、政権の枠組みに影響が出たりすれば、社保改革の方針が変わる可能性もある。

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