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財政再建への責任がかすんだ自民公約

2017/10/4付
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 自民党が衆院選の公約を発表した。憲法改正を安倍政権になって初めて重点項目に位置づけたほか、消費増税の増収分を子育て支援に配分する方針などを盛り込んだ。一方で危機的な財政を立て直していく道筋は示されておらず、与党としての責任はかすんでしまっている。

 経済戦略では「生産性革命」と「人づくり革命」を2本柱に掲げた。2019年10月に消費税率を10%に上げる際の増収分を活用する2兆円規模の総合政策を今年末までにまとめると明記。「全世代型社会保障」の実現に向けて、幼児教育の無償化や32万人分の保育の受け皿整備、高等教育の授業料減免や奨学金拡大を列挙した。

 高齢者に偏った予算配分を若い世代に振り向ける改革は重要であり、少子高齢化に歯止めをかける効果もある。しかし財政赤字の削減に充てる予定だった消費税の増税分を財源とするのは、安易なツケ回しという印象がぬぐえない。

 政府は20年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標を先送りした。自民党公約は「財政健全化の旗は明確に掲げつつ、不断の歳入・歳出改革努力を徹底する」と言及するにとどまり、財政再建への姿勢が後退している。

 生産性革命も新たに打ち出し、「20年までの3年間を集中投資期間として、大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員する」とした。ロボットやあらゆるモノがネットにつながるIoT、人工知能(AI)の活用に触れたが、具体的な政策が乏しいのはいかにも迫力不足だ。

 公約は北朝鮮の脅威を「国難」と位置づけ、「国際社会による圧力強化を主導し、すべての核・弾道ミサイル計画を放棄させる」と強調した。衆院選では外交や安全保障も重要な論点となる。

 憲法改正は重点公約6項目の柱の一つに格上げした。優先すべき検討項目として「自衛隊の明記」「教育の無償化・充実強化」「緊急事態対応」「参院の合区解消」の4つを明示した。

 自民党内ですら具体的な改憲案は固まっていない。有権者の幅広い理解を得て国民投票に臨むためには、自民党が独自の案を示しつつ、各党と議論を丁寧に積み重ねていく姿勢が重要になる。

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