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建設・運送業こそ働き方改革が急務だ

2017/10/2付
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 建設、運送業の人手不足が深刻になっている。政府は先にまとめた残業時間の上限規制案で、人手不足を理由に建設、運送業への適用を5年間猶予した。しかし、過重な労働実態を放置することは許されない。

 人手不足を生むような環境だからこそ、長時間労働の是正を急ぐべきだ。

 厚生労働省の調査では、建設業の年間労働時間は全産業の平均に比べ2割も多い。自動車の運転業務ではトラック、バスなどで1~2割も長く働いている。

 新国立競技場の工事現場では建設会社の若手社員が3月に自殺。遺族は月200時間近い時間外労働が原因として労災を申請した。東京五輪・パラリンピック関連の工事が今後本格化すれば長時間労働がさらに広がるおそれもある。

 政府は建設、運送業の長時間労働を是正するための指針を8月にまとめた。指針に強制力はないが、建設、運送業界は法改正を待たずにすぐに改革を進めるべきだ。

 大林組などの総合建設会社は、下請け協力会社を含む現場労働者に4週間で8日の休日を確保するモデル工事現場をつくる。こうした体制をすべての建設現場で構築してもらいたい。

 休日を増やし、労働時間を減らすためには無理のない工期の設定とともに現場作業の効率を上げなければならない。業界をあげて工法の工夫や作業の機械化などを推進してほしい。

 自動車運転業務の長時間化を招く「荷待ち時間」を短くするためには依頼主も協力し、積み下ろし作業の順番を予約で決める厳格な時間管理システムなどが必要だ。

 建設や運送業の生産性が低い背景には中小企業が多く、再編が進んでいない構造問題がある。これを改めなければ、小手先の働き方改革で終わりかねない。

 行き過ぎた受注競争を抑え、IT(情報技術)導入などで効率を上げるために、政府は企業再編を促す政策を打ち出してもらいたい。建設業の現場では日給制で働く技能者が多く、単に労働日数を減らしただけでは所得の減少につながる。現場技能者の雇用、給与制度の見直しも必要だ。

 長時間労働や低賃金、建設業での社会保険の未加入問題などを是正しなければ若い人材は確保できない。建設、運送とも業界の存続にかかわる危機ととらえ改革を進めるべきだ。

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