2018年10月22日(月)

春秋

2017/10/2 1:27
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高級ブティックやカフェが並ぶ東京の代官山。先週末その一画に、少し変わった生活雑貨や食品の店舗が誕生した。商品の在庫は原則として持たず、客は店頭からスマートフォンなどを通じ購入する。無農薬の茶や野生の鹿の革靴など、製法にこだわる品が店頭を飾る。

▼地球環境や地域の伝統など、商品の社会的な背景を大事にする消費者が増えている。こうした品だけを選びネットで販売する会社が開いた店だ。この種の商品は地方の小さな生産者の手による場合が多い。店頭で手に取れれば知らない会社のものでも安心して買いやすい。在庫不要なら店の運営費が減る利点もあるという。

▼ネット通販という台風が町の小売店を蹴散らそうとしている。米国では百貨店の閉鎖や大手玩具店の行き詰まりなど、影響が顕著に表れ始めた。町から商店は消えて倉庫ばかりが立ち並び、荷物を運ぶドローンが集合住宅との間を行き交う――。博報堂生活総合研究所が昨年描いた未来予想の一つが現実味を帯びつつある。

▼実際は、そう単純には進まないのが消費の面白いところだ。人々の関心は「モノ」それ自体から、体験や思い出という「コト」へと移りつつある。物を手に農家の思いにふれたり、店員に誘われて収穫を手伝いに出かけたり。作り手と買い手の接点である店には無限の可能性がある。そうした実験の場が、また一つ増えた。

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