2019年8月21日(水)

「出国税」は本当に要るのか

2017/10/1 2:30
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観光庁が訪日外国人を増やすための財源を確保しようと「出国税」を検討している。本当にこんな税金が必要なのだろうか。

訪日客は2016年に2400万人を超え、過去最高を更新した。政府は20年に4000万人、30年に6000万人に増やす目標を掲げている。

地方では複数言語による観光表示や通信環境が整っておらず、外国人が観光しにくいといった課題がある。それらを克服して「観光立国」をめざし、日本経済の活性化につなげようという発想は理解できる。

出入国手続きを円滑にするためのインフラを整えたり、出入国管理にあたる職員を増やしたりする必要もあるだろう。ただ、その手段として出国税が妥当かどうか。冷静に検討する必要がある。

仮に日本人も外国人も、日本を出国する際に1人あたり千円を税金として徴収すると、約400億円の税収を見込めるという。いまの観光庁予算の約2倍を確保できる計算だ。

日本の財政事情は厳しい。もしも観光予算を増やそうというのであれば、国土交通省の公共事業などの予算を削り、その一部を充てれば済むだけの話ではないか。

出国税と似た税金や手数料は外国でも例がある。もしも日本で出国税をつくろうというのであれば、ある特定の歳出のためだけに使う特定財源とはせず、一般財源として財政健全化にも活用できるようにすべきだ。

最悪なのは、増税して無駄遣いをすることだ。観光振興を名目に従来型の公共事業に振り向けてはならない。たいして効果のない広告や宣伝にお金をばらまくのも論外だ。

日本ではいったん制度を導入すると既得権益が生まれ、必要性が薄れてもなかなか廃止できずにいる例が多い。特定財源はその象徴でもある。出国税をつくるならば費用対効果を不断に検証し、一定期間後に見直すことを義務づけるべきだ。

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