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米政権の真価問われる税制改革の行方

2017/10/1 2:30
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 米トランプ政権と与党・共和党が、法人税率の20%への引き下げを軸とする税制改革案をまとめた。成長を後押しするものといえるが、財政赤字の大幅拡大につながる懸念も拭えない内容だ。

 改革案はあいまいな部分も多く、今後様々な調整が必要になる。意味のある税制改革の実現へ向けて、トランプ大統領がどこまで指導力を発揮できるかが問われる。

 税制改革案の柱は、法人減税と個人所得税の簡素化だ。米国の法人税率は世界的に見て高く、引き下げは妥当だろう。企業の海外収益には課税しない仕組みを導入するのも、日欧など世界標準に合わせた変更といえる。

 米企業は海外で稼いだ利益を配当などで米国内に還流させると重い税をかけられるため、これまで資金を海外に滞留させる傾向が強かった。今回の改革が実現すれば、米国内の投資拡大への効果がある程度は期待できるだろう。

 個人所得税は、税率区分を7段階から3段階に減らすとともに、基礎控除額を倍増させて中間層などの負担軽減をめざすとしている。ただ、12%、25%、35%という新たな税率区分が適用される所得水準は明らかになっていない。普通の勤労者に恩恵をもたらすような仕組みにすることが肝要だ。

 最大の問題は、税制改革の前提となるべき課税ベースの拡大が不透明な点だ。具体的な策は、企業の利払い費控除の削減など一部を除くと言及していない。税の優遇措置の廃止には、恩恵を受ける企業や団体の抵抗が強い。それを押しのけて課税ベースを広げ、公正さや財源の確保に努めなければ、責任ある改革とはいえない。

 トランプ政権は「減税による成長刺激で税収は大幅に増える」というが、それだけで財政の悪化を食い止めることはできない。

 税制改革は本来、野党・民主党も説得して進めるべきだが、同党はすでに「今回の案は大企業、金持ち優遇」と反対しており、この可能性は低そうだ。それだけでなく、具体化が進むにつれて、共和党内でも同意が得られなくなるシナリオも十分にありうる。

 医療保険制度改革法(オバマケア)見直しと同様に、与党内の亀裂で改革が立ち往生すれば、政権への失望感が高まりかねない。昨年秋の選挙で、減税を公約の最優先事項に掲げたトランプ大統領にとって、大きな正念場を迎えることになる。

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