2018年9月24日(月)

違和感拭えぬ1票の格差判決

2017/9/29 2:30
保存
共有
印刷
その他

 1票の格差が最大3.08倍あった昨年7月の参院選について、最高裁が「合憲」とする判決を出した。「違憲状態」と断じた2010年、13年の参院選とは異なり、「著しく不平等な状態」ではなかったという判断である。

 昨年の参院選は、鳥取と島根、徳島と高知をひとつの選挙区とする合区を初めて導入し、定数を「10増10減」して行われた。

 このため過去2回の参院選で5倍前後だった格差はかなり縮小した。合憲判決はこうした国会の取り組みを評価した結果である。

 しかしこの判断には違和感も残る。参院選を違憲状態とした判決で、最高裁はこれまで「参院選であるから投票価値の平等が後退してよい理由はない」と指摘して、格差の是正を迫ってきた。衆参両院ともに国会議員は「全国民の代表」と憲法が規定しているのだから当然であろう。

 衆院選では、格差が2.13倍だった14年の選挙が違憲状態とされている。今回の判決はこうした司法判断の積み重ねから逸脱しているように思える。

 同様に選挙区について最高裁は、都道府県単位の制度そのものを見直すよう求めてきた。ところが今回は「都道府県単位自体が不合理で許されないということではない」と述べている。姿勢が定まっていないようで釈然としない。

 合憲判決が出たからといって、国会の取り組みが全面的に肯定されたわけではない。いまのやり方ではこの先、合区を増やし、組み方を変え、といった対症療法を繰り返すことになるのではないか。

 国会は改正公職選挙法の付則で、19年の次回参院選に向けて「抜本的な見直しについて引き続き検討し、必ず結論を得る」と明記している。今回の判決も、この一文に期待を込めた「条件付き合憲」であることを忘れてはならない。

 現在は衆院も参院も同じような役割、同じような選挙の仕組みとなっている。二院制のあり方にまで踏み込んだ、抜本的な制度改革に向けた議論を急ぐべきだ。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報