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政治の思惑ふきはらう政策論議を

2017/9/28 2:30
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 きょう28日、衆院が解散され、10月10日公示―22日投票の総選挙に向け、政党も候補者も一斉に走り出す。

 唐突感が否めない解散で、まずは解散権を行使する安倍晋三首相の政治姿勢が問われ、政権への信任がテーマとなる。首相が記者会見で表明した消費増税の使途の見直しや北朝鮮への対応に加え、憲法改正も争点になる。

「希望の党」への疑問

 東京都の小池百合子知事が代表となって「寛容な改革保守政党」を標榜する「希望の党」を旗揚げした。

 今後の展開によっては野党の枠組みに変化があらわれる事態も予想される。自民党に対抗する勢力がどういうかたちになるのか。日本政治の新たな方向が出てくる可能性もある。

 解散をめぐっては野党が「大義がない」「森友・加計学園の疑惑隠し」「首相の自己保身」と批判。首相は2019年10月に予定している消費増税の増収分を幼児教育の無償化に充てるなど「使い道を見直す決断をした以上、国民に信を問わなければならない」と解散の理由を説明した。

 「少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢に立ち向かっていくための国難突破解散だ」とも訴えた。所信表明演説や各党の代表質問もなく、臨時国会の冒頭にいきなり抜く伝家の宝刀。この主張が有権者の理解を得られるかどうかだ。

 政治は権力闘争である。政治の思惑が先行するのは当たり前だ。急落した内閣支持率が回復し、野党が混乱、新党の準備がもたついているタイミングをみはからい、ここが勝機とみて解散を断行すること自体否定されるべきものでもない。

 しかし大義名分が必要なのはいうまでもない。抜き身で戦っていては有権者の共感を呼べない。

 北朝鮮への対応にしても、なぜ解散の理由になるのかなお疑問がぬぐい去れない。こうした点は選挙戦をつうじてより丁寧に説明する必要があるだろう。

 唐突感ということでいうと、小池都知事が選挙戦に参入してきたのもそうだ。自らは衆院選に出馬しないという。共同代表ならともかく、代表で選挙戦をたたかう姿には違和感を禁じ得ない。

 「国政で代弁する勢力を確保することが都政にプラスになる」というように都政のために国政へというのが小池氏の理屈だが、都政と国政をどう整理するのか。二足のわらじは決して長続きすまい。

 小池氏が示した原発ゼロや消費増税の凍結などの方針に関して、選挙での集票を意識した面はないのだろうか。

 権力政治家として、国政への足場づくりは今が勝機とみて勝負に出たとして、それ自体を否定するものではないが、ここでもなぜの疑問がぬぐい去れない。

 希望の党に集まった面々も選挙に当選するための選挙互助会ではないといいたいのなら、共通の政策的な詰めはどこまでできているのだろうか。なぜの疑問を解消してもらわないと困る。

 政治的な影響力を保持するため、生き残りをめざすため、権力を求めるため、政治家が行動するのが悪いといっているのではない。政治のリアリズムを認めるのは、やぶさかではない。

 しかしそれだけで行動されてはそのときの風や空気に流され、長い目で見た場合、有権者が選択を誤るおそれがある。大事なのは政治の旗印であり政策論である。

 民進党も同様だ。他党との連携や合流にしても理念や政策の一致が必要なのはいうまでもない。単に選挙目当てといった批判を招かないようにしなければならない。

解散権の制約も議論に

 今回の解散劇が突きつけた制度上のひとつの問題点は首相の解散権のあり方である。憲法7条の規定から解散は首相の専権事項とされる。前回14年の解散の際も、そして今回も争点がはっきりしないまま一気に解散に突きすすんだ。

 小選挙区制になり首相の権限が強くなったことが背景にあるが、解散権の制約は今後の憲法論議でもひとつのテーマだ。

 英国では、解散権を制限したものの、与野党合意のうえで、政権基盤の安定をめざすメイ首相が解散に打って出て敗北、手痛いしっぺ返しにあった。

 フランスでも小池氏がしばしば自らをなぞらえたマクロン大統領が「傲慢」批判もあって支持率が急落、先日の上院選で敗北した。

 英仏両首脳の教訓は有権者を甘く見てはいけないということだろう。それは日本のリーダーにとっても他山の石のはずだ。

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