2017年12月16日(土)

サンノゼが大変貌 グーグルの超巨大オフィス計画
フィル・キーズ(米インタートラストテクノロジーズ マネジャー)

コラム(ビジネス)
2017/9/26付
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 「シリコンバレー」という言葉は世界的に知られているが、実はこの言葉は具体的な地名ではない。

 「シリコンバレーにおける主要都市はどこですか」と聞いたら、多くの人は「サンフランシスコ市だ」と答えるだろう。実はサンフランシスコの人口は約87万人でしかなく、サンフランシスコの南に位置するサンノゼ市の人口の約103万人より少ないのだ。それでもサンノゼは歴史的にシリコンバレー以外の人だけでなく、シリコンバレーの中に住んでいる人の間でも知名度が低い。

グーグルの新本社の内部のイメージ図(2015年2月公表)

グーグルの新本社の内部のイメージ図(2015年2月公表)

 しかし、この状態が変わろうとしている。グーグルがサンノゼに約65万~74万平方メートルの広さのオフィススペースを設けようとしているのだ。

 これだけの広さになるとオフィスというよりも「オフィス街」と言うべきかもしれない。現在のサンノゼの中心部(ダウンタウン)には約46万平方メートルのオフィス街しかないからだ。

 グーグルのほかにも、アップルやアマゾン・ドット・コムがサンノゼにオフィスを建てる予定がある。アドビシステムズはサンノゼにあるオフィスのスペースを拡大させる考えもある。こうした有力企業の活動がサンノゼの知名度を一気に高める可能性がある。

 サンノゼはスペインの植民都市として1777年に誕生した。歴史的にサンノゼは果樹や野菜などの農作物の産地として知られている。文化活動が活発なサンフランシスコと比べると、サンノゼにはのんびりとした住宅街の印象がある。

 現在のシリコンバレーの発展のルーツである半導体やハードディスクなどのハードウエア産業は、サンノゼの近辺で育った。だが、1990年代からシリコンバレーにおける注目産業はソフトウエアとインターネットにシフトした。この産業で働いている人たちの多くは都会での生活を望んでいる。サンフランシスコの中心部に住居を持ち、そこから60キロメートル程度離れているフェイスブックやグーグルの本社に通勤している人をよく目にする。

 グーグルがサンノゼにオフィスを建設している理由は2つ考えられる。1つはサンフランシスコには土地が不足していることだ。今から新しいビルを建てるのは難しい。もう1つの理由はサンノゼが公共交通機関を充実させていることだ。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

 今のシリコンバレーは経済活動が活発で住宅地の価格が上がっている。そのため職場から遠い地域に住んでいる人が多くなっている。さらにシリコンバレーは公共交通機関が整備されていないため、移動は自動車に頼らざるを得ない。その結果、グーグルの本社があるシリコンバレーでの交通渋滞はかなり深刻になっている。

 だが、グーグルがオフィスを持とうとしているサンノゼの中心部には4つの鉄道路線やバスが止まる駅がある。この駅には新たな路線新設の計画もある。こうした充実した公共交通機関がグーグルにとって魅力的だったようだ。

 すでにサンノゼの住宅価格が上がっているという話も聞こえてくる。ホテルの建築も相次いでいる。教育レベルや所得水準が比較的高いグーグルの社員がサンノゼに移ると、サンノゼの経済や文化に重要なインパクトを与えそうだ。

 サンノゼがサンフランシスコのような観光都市になるとは考えにくいが、少なくともシリコンバレーにいる人たちの間でサンノゼの印象は大きく変わるだろう。

[日経産業新聞2017年9月26日付]

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