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物流革新、日本郵便とオープンイノベーションで挑む
サムライインキュベート代表取締役 榊原健太郎

2017/9/21付
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 米アマゾン・ドット・コムが快進撃を続けている。2017年4~6月期決算は前年同期から8割近い減益となったが、これは先行投資が膨らむため。売上高は25%増と急速に伸びており、8月末時点での時価総額は日本円換算で52兆円に迫る水準だった。日本企業で時価総額首位のトヨタ自動車の3倍弱だ。

74年生まれ、関西大学卒。大手医療機器メーカーを経て00年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。08年にIT起業家の育成支援をするサムライインキュベートを創業。
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74年生まれ、関西大学卒。大手医療機器メーカーを経て00年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。08年にIT起業家の育成支援をするサムライインキュベートを創業。

 何がスゴイのか。様々な理由があると思うが、個人的に1番の要因だと考えているのは、電子商取引(EC)市場における物流(ロジスティクス)のテクノロジーで革命を起こしていることだ。

 私は収益拡大につながるイノベーションを起こす方法は3つあると考えている。まず、既存のバリューチェーン(仕入れから生産、販売までの流れ)に新技術を掛け合わせて効率化を図る仕組みをつくることだ。

 アマゾンはこの方法でイノベーションを起こした。その端緒が物流センター効率化のために2012年にキバ・システムズという米国のロボティックスのスタートアップを傘下に収めたことだ。

 通常の倉庫では、人間がカートを押して庫内の棚まで目的の商品を取りに行く。キバ・システムズの技術を採り入れた倉庫では、棚が動いて目的の商品を作業員に届けてくれる。広い倉庫を歩き回る必要がない。人が行っていた業務をロボットに置き換えることで、激増する物流量にも耐えうる体制を築いた。アマゾンの今の快進撃を支えているのは、このイノベーションだと思う。

 イノベーションを起こすための2つめの方法が既存の商品に新技術を掛け合わせて、これまでにない付加価値を持った商品を提供することだ。自動車業界で話題となっている自動運転がこれに当てはまるだろう。

 世界中で普及している自動車という既存の商品に、電池や人工知能(AI)、センサーなどを組み合わせることにより、「ドライバーが操作をしなくても走行できる」という新たな価値を生み出そうとしている。この分野では米テスラがけん引しているが、日本の企業も存在感を示している。

 3つめの方法がバリューチェーンを構成するいくつかの要素の中から特徴的なものを切り出し、新技術と組み合わせて新市場に参入することだ。

 当社は郵便や物流の新事業を創出するため、日本郵便と連携した。主にスタートアップからドローン(小型無人機)やAIを使った新しい物流の提案を募る。インターネット通販の拡大による荷物の増加や、配送員不足に対応するのが狙いだ。

 全国には郵便局が約2万4000カ所ある。日本郵便のバリューチェーンを構成する郵便局などを実証実験の場としてスタートアップに提供することを検討する。協業効果が見込めるスタートアップには、当社と日本郵便が出資する可能性もある。

 日本でもアマゾンのロボット倉庫に匹敵するようなロジスティクスイノベーションが不可欠になっていると思う。その実現に向けて、日本郵便がオープンイノベーションプログラムを実施するのが今回の取り組みだ。

 郵便局などのアセット(資産)を提供するだけにとどまらず、日本郵便の経営幹部がメンターとしてスタートアップの起業家との協業検討や事業化の可否を判断する。日本郵便の本気さがそこからもうかがえると思う。

 自前主義が強かった日本の大企業にもようやくオープンイノベーションの考え方が浸透してきたように感じる。これからは着手するだけでなく、実際に結果を出すことが求められるようになる。スタートアップとの協業が実を結ぶようになったとき、企業の強みに差が出てくるだろう。

 日本においてもアマゾンのようなロジスティクスイノベーションが起きて、人々の生活がより豊かになることを期待したい。

[日経産業新聞2017年9月21日付]


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