2018年11月15日(木)

与野党は財政・社会保障で責任ある議論を

2017/9/20 2:30
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安倍晋三首相が衆院を解散する意向を固め、10月22日に総選挙を実施する見通しとなった。首相は2019年10月に予定する消費税の増税分の使い道を、教育無償化などに拡充する検討に入った。民進党の前原誠司代表は増税分すべてを社会保障や教育に充てる構想を示している。

各党は票目当ての政策を競うのではなく、中長期に財政・社会保障の仕組みを安定させる道筋で責任ある議論をしてほしい。

12年6月の旧民主党政権下の与野党3党合意では、消費税率を2段階で10%に上げることが決まった。12年末に発足した安倍政権は14年4月の8%への引き上げは予定通り実施したが、その後は景気情勢などを理由に延期した。

3党合意は、5%の引き上げ分のうち1%分(約2.8兆円)を社会保障の充実に充て、残りの4%分を年金の国庫負担や国債の償還など財政健全化に振り向けるとしていた。

この増税分の使い道に教育無償化などを加え、財政健全化と社会保障などへの新規歳出の配分割合も見直すことを、首相は検討しているという。

安倍政権が看板政策に掲げた「人づくり革命」では、教育の無償化や生涯学習支援などを全部実施すれば兆円単位の財源が必要になるとみられている。

そこに消費増税分を充てる案が浮上した形だが、安易な使途拡大は許されない。大学教育の無償化などは問題が多く、人材投資は費用対効果を見極め厳選すべきだ。社会保障費も聖域ではなく、一段の効率化と抑制の努力が要る。

安倍政権はプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)を20年度に黒字化する財政再建目標を掲げているが、今後8兆~10兆円の収支改善が必要な目標達成は厳しいという見方が増えている。

政府は来年なかばに財政再建目標の中間見直しをする。消費税増税の使い道を議論するならば、中長期の財政再建目標についても語るべきだ。野党もあらたな歳出を約束するだけでなく、財政再建の見取り図を示してほしい。

借金の返済というと後ろ向きに聞こえるが、財政健全化は、超高齢化社会に向けた社会保障制度の安定と表裏一体のものだ。「財政再建か、社会保障か」という二者択一の議論ではない。選挙戦では、将来世代の負担と給付も考えた骨太の論戦を聞きたい。

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