2017年12月19日(火)

パルコの演劇情報アプリ チケットレス、転売も防ぐ

コラム(ビジネス)
2017/9/23 6:30
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 パルコがスマートフォン(スマホ)のアプリを通じて、自社公演する演劇のファンを取り込んでいる。演劇情報を盛り込んだアプリ「パルステ!」では公演をチェックするだけでポイントがたまり特典を得られるほか、チケットレスで入場できるサービスも始めた。使い勝手をさらに高めながら若者のほか、演劇好きのシニア層を取り込む。

パルステ!は最新の公演情報を見られるほか、ポイントもためやすい

パルステ!は最新の公演情報を見られるほか、ポイントもためやすい

 「来年1月に公演される『テロ』を見るならチケットレスで入場する」。都内の男性会社員はパルステ!を使う理由としてチケットレスで入場できることを挙げる。「以前あるコンサートの入場券を忘れたことがあったけど、スマホがチケット代わりなら安心かも」

 パルコは今春に公演した「不信~彼女が嘘をつく理由」(三谷幸喜さん演出)から、チケットレス入場を導入した。顧客はアプリでチケットを購入。それを証明する画面をアプリ上で表示し、入場時に専用機器で読み取ってもらう仕組みだ。

 通常は必要となるコンビニエンスストアでの発券を不要にできる。同伴する友人や家族のチケットも購入できるため、一度に表示すれば円滑に入場できる。

 このサービスは利用者にとってチケットの紛失や持ち忘れの防止につながるだけでなく、パルコにとっては「転売対策として大きな意味がある」(担当者)。近年はイベントやコンサートのチケットを巡り、ネットで大量購入したチケットを高額で転売するという不正が社会問題になっているからだ。

 転売サイト「チケットキャンプ」の運営会社によると、日本の転売市場は16年時点で約600億円規模とされる。純粋なファンが作品を楽しむ機会を奪ったり、料金が割高にならないようにと各社が知恵を絞るなか、パルコも対応を急いだ。

 パルコは商業ビルの運営にとどまらず、ライブハウスなども含めたエンターテインメントの文化を育ててきた。1973年に西武劇場(後のパルコ劇場)の名で公演を開始。三谷さんらが手掛けた演劇が中心だ。今年初めには女優の長澤まさみさん主演のミュージカル「キャバレー」が大盛況で相次ぎ追加公演した。チケット転売はひとごとではない。

 またチケットレスを可能にしたのは技術の進歩も見逃せない。今回はトランスコスモス子会社が開発した「電子スタンプ」と呼ばれる技術を使った。これまでのQRコードや生体認証の技術と比べても導入の手間やコストが軽減できるとする。チケットレスはホテルなどの多くの企業で導入が進むが、パルコのように自社で公演を企画する会社では珍しいという。

 パルステ!は昨夏に提供を始めた。メールアドレスとパスワードを入力すれば簡単に登録できる。交流サイト(SNS)のツイッターやフェイスブック経由でも可能だ。各公演のダイジェストや出演者の意気込みを動画で見られるほか、「観たよ!」「観てみたい!」という項目を押すと、マイページにリストされてアルバムのように見返せる。関連するパンフレットやCDなどのグッズも購入できる。

 ためやすいポイント制度も人気だ。会員登録で10ポイント、性別や生年月の登録で各1ポイント、作品の「観てみたい!」登録で1ポイントなどとたまる。ポイントはクーポンとなり、例えば作品をDVD化したときなどの割引などに使える。こうした機能が支持され、利用者を増やしているという。

 パルコは通販サイト「カエルパルコ」をはじめ、スマホに関連するサービスを強化している。今春に仮想現実(VR)で買い物ができるサービスを試験導入するなど、新しい事業も積極的に打ち出す。パルステ!がこれらのサービスとも融合すれば、会員獲得にもさらに弾みがつきそうだ。

(企業報道部 角田康祐)

[日経MJ2017年9月20日付]

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