2018年9月24日(月)

学力データ提供で政策検証を

2017/9/14 2:30
保存
共有
印刷
その他

 文部科学省は来春をめどに、小学校6年生と中学校3年生を対象に毎年実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の集計結果のデータを、匿名化したうえで大学などの研究者に提供する。

 初めての試みだ。制度の趣旨を広く周知して、児童・生徒の学力と学習環境の因果関係などに関する学術調査を促し、「科学的な根拠」に基づき教育政策の効果を検証するよう求めたい。

 統計法は、政府が収集する統計を社会全体で利用する情報基盤と位置づけ、データを個人が特定できないように加工して研究者に提供するよう規定している。学力テストは「行政資料」という位置づけのためこの対象に含まれない。

 調査に毎年約50億円もの巨費を投じているのに、データ提供は国の委託研究に限られている。研究者が独自の視点でデータを収集・分析するには自治体に個別に情報開示を請求するしかない。これでは学力と教育政策の関係をきちんと検証できないという研究者の批判に応えて、ようやく文科省はデータの研究利用を認める。

 文科省は学力調査とあわせ、学校の教育環境、児童・生徒の生活態度や習慣などの質問調査を実施している。例えば学級規模と学力の関係を継続的に調査すれば、規模の大小と教科別偏差値の関係が分かる。少人数学級の費用対効果に関する知見も得られよう。

 また、タブレット端末を利用したデジタル教科書や、離島や過疎地の小規模学校での遠隔授業システムなど、情報通信技術を活用した教育効果の測定も期待できる。

 学力テストは「基礎的知識は身についているが応用力は不十分」という課題を毎年確認するにとどまり、その意義が問われていた。また、「ゆとり教育」などの施策が根拠の薄い印象論や経験主義で進められ、失敗した経緯がある。

 教育委員会の同意があれば地域や学校名を明らかにした学力データの提供も可能だ。科学的根拠に基づき、不断に政策を検証する仕組みをつくる一歩としたい。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報