2018年9月24日(月)

人への投資は費用対効果を吟味せよ

2017/9/14 2:30
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 政府は新たな看板政策に掲げた「人づくり革命」を議論する有識者会議を立ち上げた。人生100年時代を見据えて、人生の様々なステージでの教育・人材投資のあり方を検討するという。その趣旨は正しいが、課題は費用対効果を考慮して、有効な政策を打ち出せるかだ。

 「人生100年時代構想会議」と銘打った会議には、首相や関係閣僚のほか、人材論の専門家の英ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授や10代の学生起業家など年齢層も多様な有識者を招いた。

 初回会合では、(1)幼児教育の無償化(2)すべての人に開かれた大学教育の機会確保(3)社会人を対象にしたリカレント教育の拡充――などを議題とし、財源も含めて検討することになった。

 長寿化社会、第4次産業革命などの構造変化が起きるなかで、成長力強化、生産性向上のためにも教育・人材投資の拡充が必要なのは言うまでもない。問題は限られた財源から、どう優先順位をつけて効率的な投資をするかだ。

 大学教育について、安倍晋三首相は、返済不要の給付型奨学金の拡充を検討する考えを示した。経済的理由で大学進学をあきらめる若者への支援は必要だが、どこまで支援するかの線引きが重要だ。広げすぎれば大学無償化に限りなく近づく。大学教育の質の改革もあわせて進めることが不可欠だ。

 社会人が産業構造の変化などに対応し新たな能力を取得するリカレント教育への支援も、やり方によっては単なるバラマキ政策になる恐れがある。幼児教育では無償化よりも、喫緊の課題である待機児童の解消を急ぐべきだ。

 人材投資を支援するにあたっては、その成果をきちんと検証し、効率的に進める仕組みをつくるべきだ。

 首相は「全世代型社会保障」という看板を掲げたが、そのためには高齢者に偏っている社会保障給付を抑え、次世代や現役世代への教育・人的投資に振り向けるといった予算配分の見直しに切り込むことが重要だ。

 現在の給付の見直しをせずに、財源を「教育国債」といった借金だけに頼るならば、負担を、育てるべき将来世代に押しつけることになる。有識者会議が単なる予算要求会議にならないように、世代間の公平な負担についても議論してほしい。

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