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JR貨物、人手不足の順風 ビール4社の共同輸送開始

2017/9/13付
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トラックの運転手不足を追い風にJR貨物が事業を広げている。12日には北海道でアサヒビールやキリンビールなどビール4社がビール類の共同配送を開始、JR貨物は札幌から北海道東部への輸送の一端を担う。トラックからのシフトが進み、2017年3月期には本業の鉄道事業が初めて黒字化した。強まる風をどう生かすか。

12日の出発式は雨のなか札幌市の札幌貨物ターミナル駅で開かれた。テープカットの後、この取り組みを鼓舞するかのように汽笛が響いた。JR貨物の内山健北海道支社長は「コンテナに各社の荷物を混載する輸送は新しい画期的な取り組みだ。効率的な物流の実現という点で、これからの変革につながる先進的なモデルになる」と期待を込めた。

ビール大手4社が共同配送で手を組むのは今回が初めて。ビール系飲料や清涼飲料を札幌から釧路や根室に運ぶ。北海道はJR貨物にとって「空のまま貨物列車を動かす区間もある」という引き合いが比較的少ない地域だ。それだけに今回のプロジェクト受注で社内が活気づいたという。

鉄道貨物は2000年ごろからの環境経営ブームでも「モーダルシフト」の追い風を受けた。ただ今回の風には切迫感がある。人手不足でトラックを調達できないリスクが高まり、一人の運転士でトラック何十台分もの貨物を運べる鉄道が注目されるようになった。運賃が安くなるとは限らないが、荷主がまず考えるのは輸送の確実性だ。

受注増で前期は鉄道事業の営業損益が5億円の黒字に転換。4月以降も風はやまず、4~7月のコンテナ輸送量は前年から2.8%増、7月はビールなどの食料工業品が2%近く増えた。重くかさばる飲料は鉄道の得意分野だ。アサヒとキリンは関西の工場で生産したビール系飲料を貨物列車で北陸に運ぶ取り組みも始めている。水面下で進むこうした案件は数十件。最近はトラックの独壇場だった500キロメートル未満の輸送の依頼も舞い込むようになった。

「殿様商売」といわれた企業体質もようやく変わりつつある。荷主に不評だった列車予約の仕組みを変え、発送日の28日前に確約できるようにした。従来は7日前でないと確定しなかった。営業戦略部門も新設し不振の路線を割安な運賃にするといったことも始めた。

国鉄分割民営化から30年。昨年はJR九州が4社目の上場を果たした。上場はJR貨物の念願でもある。同社が設定した上場への条件は連結経常益100億円の継続的な達成だ。前期は103億円だったが、稼ぎ頭だった不動産開発がほぼ一巡し、安定した利益を稼ぐには本業の鉄道に磨きをかける必要がある。

ある荷主企業の担当者は「鉄道貨物は決まったダイヤに合わせなければ使えないなど難しい面もある」と話す。追い風に乗るだけでなく、自ら市場を切り開く攻めの姿勢をどう打ち出すかが問われている。

(岩本圭剛、鷹巣有希)

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