2018年4月22日(日)

リクルート、旅館向け融資をAI審査 最短数日で

コラム(ビジネス)
2017/9/16 6:30
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 リクルートホールディングスが宿泊施設向けの小口融資サービスに参入した。同社にとって金融事業は新しい分野だ。融資審査を人工知能(AI)に任せるなど、既存の金融機関にはない機動的な融資ができることが特徴だ。来年にはAIを使った問い合わせシステムの提供を始めるなど、グループを挙げてAIの活用を進めている。

「じゃらん」のサイトで紹介する宿泊施設の審査にもAIを活用する

「じゃらん」のサイトで紹介する宿泊施設の審査にもAIを活用する

 リクルートが2016年に設立したリクルートファイナンスパートナーズ(東京・中央)がこのほどサービスを始めた。まずは「じゃらん」の宿泊予約サイトを利用している宿泊施設を対象に融資する。宿泊施設の過去の利用状況などデータからAIが融資可能か、利率はいくらかといった審査をする。早ければ数日で融資が可能だ。

 中小企業の多い地方の旅館などでは、急な団体予約が入ったときの食材の調達費や、温泉のボイラーが故障したときの修理費など、短期の資金需要が発生することがある。既存の金融機関では対応しきれない場合も多く、「旅館の社長の個人資産を充てることもある」(リクルートファインナスパートナーズの小川安英社長)。今後はグルメ情報などの「ホットペッパー」のサイトの顧客である飲食店などにも融資対象を広げていきたい考えだ。

 「じゃらん」や「ホットペッパー」といった生活情報関連の事業を手掛けている子会社、リクルートライフスタイルが来春始めるのは、「トリップAIコンシェルジュ」だ。

「トリップAIコンシェルジュ」ではAIが問い合わせに答えてくれる(スマホの画面イメージ)

「トリップAIコンシェルジュ」ではAIが問い合わせに答えてくれる(スマホの画面イメージ)

 「旅館に駐車場はありますか」

 「はい。料金は1日1千円になります」

 利用者がチャット形式で質問するとAIが答える。旅館には夕食の時間の変更や温泉の入浴時間の確認など様々な問い合わせが電話やメールで入り、従業員は回答業務に時間を取られる。地方の中でも山間部にあることも多く、人手不足が深刻な温泉旅館などにとっては、AIが回答してくれれば「おもてなしなど本来の業務に力を注げる」(リクルートライフスタイルの宮本賢一郎執行役員)。

 消費者にとって生活情報や就職、人材関連のイメージが強いリクルートだが、実は日本でもAIを積極的に活用している企業の1つだ。15年には米シリコンバレーにAIの研究所を設立し、グーグル出身の世界的研究者アロン・ハレヴィ氏を所長に招いた。ハレヴィ氏が掲げるのが「AIの民主化」という言葉だ。誰でも、簡単に、様々な場面でAIを活用できる世界を目指す。

 AIは大量のデータを入力し、ディープラーニング(深層学習)を経ることで、どんどん機能が高まる。ただ、AIに入力するデータを整理するためにデータサイエンティストなどの専門家が必要で、中小企業や個人にはハードルが高いイメージがある。

 リクルートはデータの収集や整理をするシステムも開発。すでに実際に自社の業務で活用しており、10万店分の店舗名の名寄せ作業が30分で済んだり、ウェブサイト上での情報収集の時間を98%削減したりといった効果が出ている。近い将来、中小を含めてあらゆる企業の経営にAIは欠かせないツールになる。(篤田聡志)

[日経MJ2017年9月13日付]

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