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北方領土交渉に寄与するか

2017/9/9 2:30
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 北方領土交渉の進展に寄与するのだろうか。安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領とウラジオストクで会談し、北方四島での共同経済活動について、観光ツアーや海産物の養殖など5項目を優先事業とすることで合意した。

 共同経済活動は昨年末の首脳会談で打ち出され、実務レベルで具体化への協議を続けてきた。観光や養殖のほか、温室野菜の栽培、風力発電、ゴミの削減対策を第1弾の事業とし、局長級の作業部会を設けて実施をめざすという。

 日ロは一応、共同経済活動は領土問題を含めた平和条約締結に向けた取り組みとの認識では一致する。実現すれば確かに、北方領土で日本の存在感が高まり、地元住民との相互理解も深まろう。

 ただ、ロシアはかねて自国の法制度の適用を主張する。四島をめぐる互いの主権の主張に影響を与えない形で、事業実施の前提となる法的枠組みを固めるのは容易ではない。一方で事業化が難航するようなら、ロシアが「日本は北方領土に関心がない」とみなす根拠にする恐れは十分にある。

 さらに心配なのは、ロシア政府が先月、北方領土の色丹島に独自の経済特区の設置を認可したことだ。日ロの共同経済活動の協議に水を差すような対応である。北方領土での特区の設置は初めてで、今後も続くようだと韓国や中国など第三国の進出にもつながりかねない。極めて遺憾だ。

 日本政府はロシアの思惑を見極めつつ、優先事業の協議を慎重に進める必要があろう。また、共同経済活動ばかりに注力せず、平和条約問題を正面から話し合う枠組みも求めていくべきではないか。

 首脳会談では核実験を強行した北朝鮮への対応も主要議題となり、地域の安定を脅かす深刻な脅威だとの認識では一致した。

 だが、首相が「最大限の圧力」を求めて石油禁輸などへの同調を促したのに対し、大統領は「対話による解決」を重視する立場を曲げなかった。両首脳の会談は通算で19回。日ロの溝はなお深い。

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