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「世界の頭脳」米離れも 不法移民の子、在留許可撤廃
経済損失50兆円規模

2017/9/7付
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【シリコンバレー=中西豊紀】トランプ米政権が不法移民の子どもたちに在留を許可する制度の撤廃を決めた。来年3月までに議会が対応を決めなければ、約80万人いる対象者は期限が切れた人から強制送還のリスクに直面する。トランプ政権の内向き政策を嫌気して優秀な人材が米国を敬遠し始めれば、米経済全体に影響が及びかねない。

5日、米ニューヨークのトランプタワー近くで若者の強制送還猶予措置撤廃に抗議するデモ参加者ら=共同

撤廃するのはオバマ前政権が2012年に大統領権限で導入したDACAと呼ぶ制度。幼いころに親と不法入国した若年層を対象に、一定の条件を満たせば強制送還を2年間凍結する。就労許可も得られ、更新も可能だ。利用者は米国で夢を追う「ドリーマー」と呼ばれる。メキシコやエルサルバドルなど中南米系が中心。韓国、フィリピンとアジア系もいる。

米調査機関のセンター・フォー・アメリカン・プログレスによると、ドリーマーのうち21%が教育・医療機関で働いている。9%は卸や小売り、8%が専門性の高いビジネス分野に従事している。就労状況や消費行動をもとにした同機関の試算ではDACA撤廃で米国内総生産(GDP)の4603億ドル(約50兆円)分が失われるという。

DACA撤廃に最も強く反対してきたのがシリコンバレーなどのハイテク企業だ。アップルでは250人超のドリーマーが働き、マイクロソフトでも39人が在籍する。販売から研究開発まで各種のポストに人がおり、雇用主としては無視できない。有力企業のトップらは制度の存続を求める300人超からなる連名の要望書を公表した。

足元の雇用以上に各社が懸念するのは、米国の世界からの人材吸引力の低下だ。トランプ政権は4月に専門技能を持つ外国人向けの査証(ビザ)「H1B」の審査の厳格化を決めた。さらに今回、DACAの撤廃で、移民に優しい国というイメージを完全に吹き飛ばした。

米国の中でもシリコンバレーに多数集まるスタートアップ企業は移民への依存度が高い。米政策財団の調べでは16年3月時点で企業価値10億ドルを超える優良スタートアップ企業の51%は移民によって創業されている。

新興企業にとどまらず、グーグルのスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)はインドからの移民だ。ウーバーテクノロジーズのダラ・コスロシャヒ新CEOもイランからの移民だ。

世界の頭脳を取り込むシリコンバレーモデルは、外部の人材にも開かれた公平な環境があってこそ。同地域に開発拠点を置く欧州系自動車メーカー幹部は「このままでは優秀な海外人材がカナダやオーストラリアに流れる」と不安を隠さない。

米ノートルダム大学法学部のルディ・モンテローサ非常勤教授は「トランプ氏は(努力すれば夢がかなうという)アメリカン・ドリームを破壊した」と話す。その夢の現代の象徴ともいえるシリコンバレー。大きく開いた政権との溝は当分埋まりそうにない。

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